日記2
翌日。
「なぁ。SPって何だ?」
俺は、カルタに説明を求めた。
「いやお前。寄生させろって昨日言ってそのまま何処か行っちまうとか、後日当たり前の基本知識聞くとか。もう勘弁して」
「うるせ。俺は俺なりに楽しみたいの。で、SPって何?」
「はぁ。SPってのは、スキルポイントだよ。それでスキルを入手できる。基本的な動作がなっていれば自然に取得できるのもあるがな」
その後、スキルポイントについて、詳しい説明を受けた。
スキルを取得する為のSPは一番少ないので10、多いと100とかもある。で、今俺が取得できるスキルは3つ。【鑑定】【剣術】【身体能力強化】だそうだ。
【鑑定】は別に要らないし、【剣術】も後で良いか。とすると【身体能力強化】だな。
俺は、SPを消費して迷わず【身体能力強化】を取得した。
「カルタ。鉱石って何処にある?」
「どしたよ急に」
「だから、鉱石だよ。俺のスキル試してみたい訳」
「あぁ。成る程。そんじゃ、これ使えよ」
カルトはそう言うと、鈍色に輝くインゴットを取り出した。
『鉄のインゴット』
「いいのか?」
「いいって。最近じゃ、黒鉄って素材の方が使われるんだ。鉄は腐る程ある」
「ありがとう。助かる」
そう言って、俺は鉄のインゴットに手を置いた。
「【金属吸収】」
スキルを使うと、鉄のインゴットは嘘のように俺の体に吸い込まれて消えた。
その瞬間。
「—————っ!?」
体が急に地面に引かれる。
何だ? 体が、重い!
重力に逆らえず、膝が折れ、地面が迫った。
どうやら【金属吸収】は、体に金属を吸収する。まんまのスキルだったらしい。
しかし問題は別にあった。金属吸収を使うと、体重が吸収した分だけ増えるのだ。その分、体も丈夫になり、重さも軽減されるのだけど、やはり重い。今も、身体能力強化が無いと本当に重いのだ。最初に吸収したときは、いきなり体重が増えて耐えられず、そのまま倒れてしまった。
【鉱纏精製】や【錬金術】を使うと、吸収した金属を排出できるのだが、暫くこのままでいようと思う。
金属を吸収した状態だと、ステータスが軒並み上がるのだ。特に防御力が上がる。
馴れれば戦闘中に【金属吸収】とかできそうで、ちょっと楽しみだ。
あと、【錬金術】を使って金属を取り出すと、好きな形で出現させられる。
戦闘中なら、剣の形で取り出して、そのまま戦う事もできそうだ。
あー。夢が広がるなー。
因に、【鉱纏精製】を使った場合は、防具になりました。
名前:浪人
種族:メタル Lv2
金属量12%
SP:1
スキル:【鉱纏精製】【金属吸収】【錬金術】【身体能力強化】
お、お、重い。
ヤバい。マジで重い。死ぬ程重い。
ナニコレ。ねぇ、ナニコレ。
翌日。
レベルを上げ、少し強くなったような気がした俺は、幾つかの『鉄のインゴット』を吸収した。
で、今の俺のステータスがこちら。
名前:浪人(加重:強)
種族:メタル Lv4
金属量:43%
SP:5
スキル:【鉱纏精製】【金属吸収】【錬金術】【身体能力強化】
状態異常になっとるっっっ!
あと、立てねぇぇえええええええ!!!
身体能力強化を使っているものの、効果はない。
や、やめときゃよかった。
体がやっと馴れてきたのか、立てるようになった。
しかし、
「お、お、お、お、お、お、お、お、お、お、重い」
やっぱり重いことに変わりはなくて。
暫く、狩りにも行けなかった。
金属量減らせばよかっただけじゃね? と、いうことに気付いたのは、暫く経ってからのことだ。
三日後。金属量43%にも馴れて、【身体能力強化】無しで普通に歩けるようにもなった。
重いは重いのだが、我慢できるレベルだ。
金属量を増やした状態で過ごすと加重耐性が上がるらしい。
今では【加重耐性Lv34】を入手してしまった。
これからは、徐々に金属量を増やすことにしよう。
ということで、少しレベルの高いエリアに来てみました。
洞窟です。
「狩るぞぉぉぉぉおおおおお!」
俺は、虫やゴーレムに突進して行った。
どうも、浪人です。
名前あんまり出てないから、認識されないけど浪人です。
今、俺の目の前に死体が転がっています。
勿論、人のではありません。
ゴーレムと蜘蛛と蜈蚣と蟷螂と鼠の死体です。
レベルが7上がりました。
では、ここで一言。
「金属の力ってすげー」
ゴーレムは【金属吸収】と【鉱纏精製】で核ごと俺の装備に変えた。
蜘蛛と蟷螂は錬金術で作り上げた大剣で薙ぎ払い、蜈蚣は俺の重量で踏みつぶした。
鼠は蹴り飛ばした。
ここで思ったんだが、俺、防具とか武器とか買う必要なくない?
「よし。浪人。武器を買おう」
次の日、急にカルタがそんなことを言い出した。
「遠慮しておく」
「何故に!?」
「や。お前、俺のプレイスタイル見たことないだろ」
「だって、お前大体ボッチ狩りじゃねえか」
「ボッチ言うな。ソロと言え、ソロと」
「じゃあそのプレイスタイルとやらを見せてみろよ!」
「前と後の文に脈略が無さすぎて驚くわ」
ということで、洞窟に来ました!
「狩るぞぉぉォォオオオオオオオ!!」
ゴーレム目掛けて殴り掛かる。
正確に核を【金属吸収】で抉り取る。
そして直ぐに吸収したゴーレムの核と素材を使い、【錬金術】で大剣を作り出し、
「らぁあああっ!!!!」
作り出した大剣を横に一薙ぎ。寄って来た蟷螂を吹っ飛ばす。
昨日と同様、蜈蚣を踏みつけ鼠を蹴りとばす。
只管狩りを続け、HPが危なくなって来たところでカルタがボーっとしているセーフティーエリアに入る。
「わかったろ? これじゃ、武器防具は要らない」
言うと、カルタは頭を抱えた。
「わかったよ。お前がどんだけ非常識か」
一応、装備は買ったものの、全て革装備。
しかも、白衣を着ているので薬剤師さんにしか見えない。
見るからにネタプレイです。
名前:浪人 (加重:微)
種族:メタル Lv16
金属量:52%
SP:29
スキル:【鉱纏精製】【金属吸収】【錬金術】【身体能力強化】【加重耐性Lv37】
翌日。
「おおおおおおお、重い」
金属量を80%にしてみた。
てことで、多分暫くこのままだろう。
「ぐあぁあああああああっ」