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日記1

VRMMORPG『セブンスオンライン』

世界で7つ目だからという安直な理由で名付けられたこのゲームは、βテストにおいてどの作品よりも高い評価を叩き出した。

さてはて、俺こと賭鳩唐瓜はそんなゲームの初回ロットに当選した訳だ。

しかし、俺は、色々あって一週間程出遅れてしまったのだ。

つまり

「待っていやがれ仮想現実ぅぅぅぅうううううう!」

そういうことだ。

このゲームは、脳波から読み取って自分に最適な種族を使えるらしく、そのため現実よりも体を動かしやすいとか。

聞けば、職業は無し。スキルで全てが決まるとのこと。

少しのキャラクターメイクはあるらしいが、そこからは自由にやる予定だ。



ヘッドギアを装着して、ベットに体を預ける。

3 2 1

「ログイン!」


『セブンスオンラインにログインします』

『脳波をスキャンします。 10%・・・・・100% スキャン完了しました』

『脳波から最適な種族を割り出しています。   完了しました』

『キャラクターメイクを始めます』



『問1 貴方のこの世界でやりたいことを教えて下さい』

「別に無い」


『問2 戦うなら、近距離戦と遠距離戦どちらで戦いたいですか』

「めんどい。どうでもいい」


『問3 ファンタジーで、なってみたい職業はありますか』

「特になし」


『問4 生産したいアイテムの種類を教えて下さい』

「楽に作れるなら何でも良いや」


『問5 好きな言葉は何ですか』

「無し」


『問6 あの、真面目にやってくれますか?』

「ヤダ」


・・・

・・

キャラクターの顔は、現実の顔を少し変えて、違和感の無い程度にした。

他は、髪の色を白にしたり、目の色を赤にしたりと、色々変えた。

この状態では、種族も職業も不明のままらしいが、あちらに行けばすぐにわかるだろう。


『名前を入力して下さい』


少し悩んで、『浪人』と入力。

『全32国から、1国を選んで下さい』

【アトラデル公国】を選択して、

「さてと」

俺は、キャラメイクの『完了』表示をタップした。



視界が開けると、街がそこにあった。

煉瓦造りの家が並び、其処ら中がプレーヤーとNPCで賑わっている。

「スゲー」

まさに、その一言に尽きる。

後ろを振り向くと巨大な噴水があり、その上には煌煌と光る宝石が浮いていた。


どうしようかと悩む。

このゲームはチュートリアルが無い。

手探りで進むしかないのだ。




うなり声をあげていると、ボイスチャットが入った。

『おーい。キャラメイク終わったか?』

「あぁ。終わった」

『で、今何処?』

「最初の地点から、全く動いてないよ」

『つまり、噴水広場だな。今行く』

声の主は、烏道義隆。俺の悪友だ。

こいつは、俺より先に『セブンスオンライン』をプレイし始めたらしく、寄生するにはもってこいだ。

少しして、明後日の方向から声がかかる。

「唐瓜」

リアルネームを呼ばれると、俺は声の方向に体を向けた。

「義隆か」

「おうよ!」




義隆はエルフだった。

なんと言えば良いのか、尖った耳。

そして、凄く好青年。


「こっちでは何て呼べば良い?」

「浪人で頼む」

「浪人て、お前」

「うるせ。それより名前教えろ」

「カルタだよ」

「じゃあ、カルタ。寄生させて」

「プライドとか存在しないの?」

「プライドでゲームができるか?」

そういえばステータス、確認してなかった。

ステータスの開き方を教えてもらい、開く。





名前:浪人 

種族:メタル Lv1

金属量:0%

SP:10

スキル:【鉱纏精製】【金属吸収】【錬金術】






「カルタ。種族何?」

「見りゃわかるだろ。エルフだよ」

「俺、何に見える?」

「人族だろ」

「ちょっと、ステータス見てくれよ」

ステータス観覧許可のボタンを押し、カルタに見せる。

「なんだこりゃ。メタル? この種族何?」

「知らん」

「しかも、【鉱纏精製】と【金属吸収】ってなんだよ。俺も初めて見る。種族スキルか? 未知の種族だし、掲示板に載せとくか? しかし……ぶつぶつぶつぶつ」

「だから知らんて。おい、聞いてるか? もしもーし?」

なんかしらんが、ぶつぶつと呟いてこっちに目もくれない。

面倒臭いし、このままとんずらしよう。






つーことで、フィールドに来てみました。

平原です。

それにしてもリアルだな。

吹き抜ける風とか、鼻につく匂いとか、日差しの心地よさとか、脚の裏の嫌な感触とか、凄くリアルに再現されてる。

まぁ、つまり糞を踏んじまっている訳ですよ。

「うわぁ。汚ねぇ」

近くの小川で糞を落とす。

こんなところまでリアルに作らなくてもよかったと思うよ。

靴を洗い終え、小川から離れると間もなく一匹の猪が現れた。

「モンスターか」

『草原猪』Lv1

と、表示されている。

此方に気付いていないようなので、そっと近づいて初心者用の剣で2、3回連続で斬りつける。

流石は序盤モンスター。

すぐにHPが0になり、若干の時間を置いて、エフェクトと共に消滅してしまった。

『“草原猪の牙”を入手しました』

アイテムの入手を確認。

「次行くか」

何匹か猪を狩ると『テッテレー』と、昔懐かしの音と共にステータス画面が表示された。


名前:浪人 

種族:メタル Lv2

金属量:0%

SP:12

スキル:【鉱纏精製】【金属吸収】【錬金術】


ふむ。

このSPって何だ?


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