表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
追憶のラビリンス~館の占星術師~  作者: 遠山 龍
第七章 序章
47/86

record47 亀裂

更新をさぼって約一週間……もう書くのをやめてしまったのか?と思った方もいるかもしれませんが、終わっていません!!

暇があれば頑張って書いてます。

そして、頑張って書いてるのでどうか見捨てないでください!笑

と、作者からはここまでにして話を読んでいただければ幸いです。

二階へと上がろうとしていた樹がその声に振り返る。

その視線の先には浩介がいた。


「何をそんなに焦っているかは知らないけど、自分勝手な理由で勝手な行動をとらないでくれるかな。それに、帰りたいなんて軽々しく口にしない方がいいでしょ。みんなだってそう思ってるんだから」


いつもの浩介とは違い、嫌に喧嘩腰だ。

止めるにしてももう少し違う言い方があるのではないのだろうか。


「そのことに関しては自分も悪いと思います。でも、納得はしていません。だから自分一人で謎を解いていこうと思っています」

「それをやめろって言ってるんだぞ?」

「それはできません。それに相原さんこそ間違ってはいませんか?」

「俺が間違い? 何を間違ってるって言うんだよ!」


樹との間合いを少しずつ詰めながらも睨み返す。

言えるものなら言ってみろと言う感じだ。

それに対して、表情一つ崩さないまま樹はゆっくりと口にした。


「今、あなたはみんなが帰りたいと思っているとおっしゃいましたよね? けれどそれは違う。少なくとも相原さんは……」

「っ! 俺が帰りたくないなんていつ言ったんだよ。それはお前が勝手に考えた、ただの当てつけだろ!」

「じゃあ帰りたいと思っているならなぜ自分を止める理由があるんですか? 協力をしないまでも止めはしないはずでは?」

「そ、それは……それはルールの規律を崩さないためだ! だからだよ!」

「じゃあなぜそんな声を荒げて自分のことを追求しようとしてくるんですか? 規律のためならそこまで焦らなくてもいいんじゃないのでは? それとも、なにかこの館から早く帰れてしまうと不都合でも?」

「お前いい加減に――」


そう言葉を発しながらも浩介は樹との間合いを詰める。

そして右腕を振りかぶると、樹に殴りかかった。

――浩介のやつ! やっぱり正気じゃない!

その行動を見て敦司はすぐに駆け寄る。

他の人たちもさすがにそれはまずいと思ったのか、翔や亮太も走り出していた。

けれど既に階段を上っていた二人のところまではそれなりの距離があり、間に合うはずもない。

ガツッ! 浩介のこぶしはそのまま狙い通りに樹の顔面へと吸い込まれた。

もろに食らった樹は少しよろけたが、倒れまではしなかった。

――えっ! そんな……風間くんなら避けれたんじゃ?

ふとそんなことが頭に浮かんだ。

樹ほどの反射神経があれば避けることなどたやすく思えたのだが。

その時、女の子の悲痛な叫びが聞こえてくる。


「相原くん、それ以上は!」


いつの間にあそこまで登っていたのか、佳奈が浩介を止めようとしているのだ。

だがその声は今の浩介には届かなかったのか、もう一度こぶしを振り上げた。

けれどそれより早く体制を立て直した樹は、口元の血を拭いながらもにらみつける。

今回も前と同じく、避けるような素振りは一切見られない。


「そんな力が入っていない殴りじゃ無理だよ。その右腕、骨折してるだろ? 一瞬だけだけど顔が痛みで歪んでたぞ」

「っ!」


ピタッ。樹にそういわれると振り上げたこぶしが空中で止まる。

図星なのだろうか?

こちらからは浩介の表情は良く見えないのだが、雰囲気的にも嘘ではなさそうだ。


「もう気が済んだのなら俺はもう部屋に戻るよ。こんなところで時間をつぶす暇があったら一刻でも早く謎を解いて、ここから帰りたいし……では、これで失礼します」


樹はみんなに軽くお辞儀をすると、それから振り返り二階の奥へと消えていった。

それからばたんと扉が閉まる音がエントランスホールに響く。

浩介はというと、振り上げた腕を下ろしながらも樹がいたところをじっと見つめていた。

他のみんなは二階へと上ろうとしていたせいか階段の付近で固まっていた。

未だに状況がつかめていないのだろう。

敦司自身も一度に事が起こったせいで頭の処理がついてきていなかった。

ただ一つだけは明らかに分かったことがある。

それはとうとうルールに逆らうものが出てきたということだ。

いや、ルールというよりは河西に対してといったほうがいいのだろうか?

どのみち樹の身に危険が及ぶのは間違いない。

絶対とまでは言い切れないが危険なのは確かだ。


『ルールに逆らったものは殺される』


樹が言っていたことが頭の中でリピートされる。

だが今度の相手はあの樹だ。

前にやられた相手がどんな人かまでは知らないが、本人だって覚悟はしているだろうしそんな簡単にはやられないはずだと敦司は思っていた。


「相原くんっ!」


佳奈の突然の声に敦司が何かと思い顔を上げると、浩介がちょうど二階へと姿を消すところが見えた。

それを佳奈がそれを追いかけるように姿を消した。

それからエントランスホールにまた静けさが戻る。

結局自分には何もできなかった。

樹が河西に話すことは事前に知っていたし、早く帰りたい理由だって知っていた。

もしかしたらこうなることを唯一防げたのは自分だけだったのかもしれない。

なのに何もできなかった自分に無力さを感じる。

周りを見てみると、女性の集団は表情が少し暗くなっているように思える。

まあ今の出来事を考えれば無理もないか。


「みんな、こんなことになってすまない。僕の配慮が足りなかったみたいだね。明日の朝、樹くんと浩介くんにはしっかり話し合ってこのことは解決しよう思う。だからとりあえず今日は各自部屋に戻ろう」


後ろを振り返ると、河西がみんなに呼びかけていた。

河西自身もどこか責任を感じるところがあるのだろう。

なんだか少し疲れているような表情をしている。

確かに明日のことを考えると気が重い。

まず浩介と樹が顔を合わせないと思うし、合わせたとしてもいつも通りというわけにはいかないような気がする。


「きっと明日はまた、みんな普通に仲良くなってるよ。大丈夫だよ、真夜ちゃん」


声のした方を向くと、柚唯が不安そうな表情をする真夜を励ましているところだった。

なんだかそれを見ていると自分よりよっぽど柚唯の方がしっかりしているように思えてくる。

――とりあえずここに居ても仕方ないし……自分はできることをしよう。

そう思い、その場にいる誰よりも早く二階へと階段を上って行った。

今回も読んでいただきありがとうございます。

次からは、亀裂が走った主人公たちがどうなるのか!?

次回をお楽しみに(^^

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ