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追憶のラビリンス~館の占星術師~  作者: 遠山 龍
第七章 序章
45/86

record45 コンタクト

更新遅れてしまい申し訳ありません!

帰ってきたばかりで少しばたばたしていて、更新時間が遅れてしまいました(-_-;)

敦司と真夜は、久遠に急かされながらも部屋へと再度入室。

中に入ると、中央で頬をほんのりと紅潮させながらも足をもじもじさせている柚唯と目が合った。

服はワンピース型で色は白、純粋そうな柚唯にはぴったりな服だった。


「え、えーと……や、やっぱり似合ってないよね」


沈黙に耐えられなくなったのか、柚唯の方から感想を求めてくる。

よっぽど恥ずかしいのかしっかりと視線を合わせてはくれず、ちらちらとこちらを窺ってくる感じだ。

――んー、可愛いとは思うけど何か足りないな……。

スタイルは抜群にいいし、お世辞抜きに可愛らしい。

けど何か足りない。

敦司が気付けないまま悩んでいると隣にいる真夜が先に感想を口にした。


「そんなことないと思いますよ。高宮さんはスタイルがいいですし、まるでモデルさんみたいです。それに……」


真夜はなぜかこちらをちらりと見た。

それからこう付け加えた。


「佐久間さんには受けがいいみたいですし……」

「えっ……?」


真夜に言われた柚唯は敦司の方を向きながら素っ頓狂な声をあげる。

――いやいや、確かに可愛いと思いましたけども……真夜ちゃん、なんでそんなこと言っちゃうかな?

もしかしてまだ怒っているのかなと思いながらも柚唯に感じる違和感を探してみる。

そしてちょうど柚唯と目が合ったとき、そこでようやくあることに気付いた。

――あっ、分かったぞ!

ひらめいたと同時に敦司は無意識に柚唯へと歩み始めていた。


「え? 敦司くん?」


突然近寄ってくる敦司に柚唯はおどおどしていたが、逃げるまではしなかった。

それから敦司は、柚唯に近寄ると顔の方へと手を伸ばす。


「え? え?」

「うん、これでよし!」


一人驚く柚唯を取り残しながらも、敦司は深く頷く。


「前にも言いましたけど、やっぱり柚唯さんは眼鏡がない方が似合いますって」


そう、敦司が感じた違和感とは柚唯が眼鏡をかけていることだった。

いつもかけていただけにすぐには気が付けなかったが、昨日の出来事を思い出せばすぐだった。

やはり柚唯は眼鏡をしていない方が断然に可愛い。

でもなぜコンタクトをやめて、また眼鏡に戻してしまったのだろうか。

コンタクトだと目が疲れるからだろうか?

まあ自分は柚唯のなにものでもないのだから、本人が嫌と言うなら敦司自身も深くは言えないのだが。

すると敦司の疑問に答えるように久遠が口を開く。


「違うよ敦司くん。あたしが柚唯に眼鏡をかけるように頼んだんだ」

「え? 久遠さんが?」

「うん、そうだよ。服を着る時だけ眼鏡をかけてって頼んでおいたんだ。だから今日の朝、初めに柚唯と会った時はコンタクトだったんだよ。なんか気分転換に変えたって言ってたけど……」


久遠は柚唯のことを横目で見ながらもニヤニヤし始める。


「敦司くんに言われたからだったんだ?」

「えっ、ち、違うよ!」

「本当に?」

「あっ、いや、それもあるけど……でも、その、本当にそういう意味じゃないよ」


ここまでくると完璧に柚唯は、久遠のペースにのせられていた。

その後ひとしきり柚唯をいじると、久遠は笑うのをやめていつも通りの表情に戻る。


「でも柚唯の年代だったらおしゃれをしても当然だもんね。それとあたしも敦司くんと同意見かなぁ。眼鏡をしていない方が柚唯は可愛いよ」


久遠の隣で真夜もこくこくと首を縦に振っていた。

どうやらそれに関しては彼女も賛成らしい。


「みんなありがとう。私、元の世界ではいつも暗くてあんまりお友達とかも居なかったんだ。だからおしゃれとかにもあんまり気を使ったこともなくて……」


過去のことでも思い出しているのか、さっきまであった元気そうな感じは今の柚唯にはなかった。

よっぽど自分に自信がないのだろか?

これだけ可愛かったら周りの男たちがほっとかないような気もするのだが……。


「でもね、この館に来て久遠ちゃんに会ってから少しだけ変われたような気がするんだ。それに真夜ちゃんともこうして仲良くなれたし……」


久遠の方を見て、それから真夜の方を見ると柚唯はにっこりと微笑む。

そして最後に目の前にいる敦司の方へと向き直ると、すっと手を差し出してくる。


「その……私、あんまり男の子と話したことないからどう接すればいいかあんまり分からなくて……だから変な子に見えたかもしれないけど、今まで仲良くしてくれてありがとう」


柚唯の真っ直ぐな笑顔に、敦司はなんと言葉を返せばいいか分からなくなって無言で彼女を見つめ返した。

もしかしたらただ単に柚唯の無垢な笑顔に見惚れていたのかもしれない。

それからは自然と腕が持ち上がり、差し出してくれた手を敦司は握り返していた。


「これからもよろしくね、敦司くん」

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