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プロローグ
電気自動車の未来を予想した硬い小説です。
SFに分類していますが、遠い未来の話はしておりません。また恋愛等はありませんので、ご了承ください。
僕は、いつものやりきれない気持ちのまま、会社へと向かった。
妻との二人暮し、会社も大手自動車メーカーだ。
生活する上では、何の不満もない。
社宅通いの僕は、出社時間ぎりぎりでも取り合えずタイムカードを通す事ができる。
妻も、知っているようでぎりぎりまで僕を起こさないでいる。
しかし、大手の自動車産業の社員と言えども、駐車場の管理業務を行うだけの仕事だ。
毎日毎日多くの企業の営業マンが自社製品を売り込みにやってくる。
ねじの一本からエアコンシステムまで、数え上げればきりがない。
こんな駐車場係の僕の丁寧に挨拶してくれるメーカーもあれば、上から命令するようなメーカーもある。僕は、分け隔てなく所定の位置に駐車するよう誘導していく。
本社ビルは、50階建てのオール電化ビルなのに、駐車場は地下5階のモグラの巣のような場所だ。