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自己満足の世界の住人

 

 都内某所の薄暗い研究室でニヤニヤしている男。

 R博士とでも呼ぶことにしよう。


 R博士は研究が大好きである。

 大学生の頃に研究する事の面白さに目覚めたのだ。

 それからというもの、自分の家にこもり、研究と開発を繰り返している。

 株をやってカネを稼いでいるが、稼いだカネのほとんどが研究に消えていく。

 外に出ることはほとんどない。

 こんな生活を20年続けているのだ。



 R博士の研究や開発は世の中の役に立たない物ばかりだ。

 なぜなら、R博士は自分の知的好奇心を満たすためだけに研究や開発を行っているからである。

 学会に所属せず、自分の研究や開発を誰かに発表することもない。

 R博士は自己満足の世界に身を置いているのだ。




「ついにできたぞ!」


 ある日、久しぶりにR博士がしゃべった。

 新薬の完成に喜びを爆発させている。

  完成させた新薬。

 それは服用した人にオーラをまとわせる薬だ。

 人間には全員違う雰囲気がある。

 この薬は人の雰囲気を強化してオーラにする。

 オーラの強さや色には服用した人の特徴が反映される。


「どんなオーラが出るのだろうか?」


 R博士は期待に胸を膨らませながら薬を飲んだ。




 1時間後、もう薬の効果が出ても良い頃だ。

 R博士は自分のオーラを鏡で見てみた。


「すっすばらしい」


 R博士のオーラは何色とも言えなかった。

 あえて言うなら、物凄く居心地の良い色と言ったところだ。

 強さの中に優しさがある素晴らしいオーラだ。

 人の目を釘づけにする力がある。


「このオーラを見た人はどのような反応をするのだろうか?」


 この疑問を解消するためにR博士は実験をしてみることにした。

 家の外に出てみるのだ。





 家を出てから3時間後、帰ってきたR博士には疑問がわいていた。


「なぜなのだ。なぜ誰も私に注目しないのだ」



 外ですれ違った人々にははR博士のオーラは見えていないようだった。

 まあ、見えなくて当然である。

 R博士の1番の特徴は自己満足の世界の住人であることなのだから……


 R博士のオーラは素晴らしい。


 しかし、自分にしか見えない。


 自分で自分のオーラを見て満足することしかできない。


  R博士のオーラは自己満足色だ。










著者は雰囲気のない人間です。影が薄いのです。

R博士が開発した薬を飲めば暗殺者になれるかも。


読んでいただきありがとうございます。

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