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始まりの旅にて 旅立ちと心得

「着替えに各道具、それに小刀。よし、これで良いかな」


 あれから一月が経ち、とうとう交流会への旅立ちの日がやって来た。大げさな準備は必要ないって言われたけど、僕はただでさえ体力面で劣っているから、それをできるだけ補助できるような準備をしている。でも、本音を言えば、こういう準備が無駄になるくらい平和な旅になってほしいかな。


 僕・兄さん・姉さんが玄関を出てそろったところで母さんが話しかけてきた。


「ガル、マイネ、ヤート、気をつけるのよ」

「おう!!」

「わかってるわ」

「無理はしないから大丈夫だよ」

「そう、それなら安心ね」


 母さんは僕達の答えを聞いて、それなりに安心したようだ。ちなみに母さんの心配は、旅立ちが近づくほどに大きくなってるようで今日だけで十回は言われた。さすがに何回も聞かれから少しウンザリしたけど、それでも心配されるのは何というか照れくさいね。


 そんな事を考えていたら今度は父さんが話しかけてくる。


「お前達なら何度も言わなくてもわかっているとは思うが、疑問があったらすぐに周りに聞くんだぞ。普段とは違う事をする時は疑問が出てくる。そうして疑問のままにしておくと、いざという時に動けなくなるかもしれないからな」

「父ちゃん、俺にはわかんねえもんなんてねぇぞ」

「それはガルが考えてないだけでしょ。父さん、私はガルと違って聞けるから大丈夫よ」

「おいマイネ、俺がバカみたいに言うな」

「みたいになんて言ってないわ。私は単なる事実を言ってるだけよ」

「なんだと!!」

「二人とも、やめないか」


 兄さんと姉さんは今日も元気だね。初めての旅なのに緊張とかはなさそうだ。


「聞きたい事は狩人に聞いてるから今はないかな」

「……ヤート、お前はマイペースだな。ただ、今回の旅はヤートの体力に合わせて行動するから、おまえが無理のない範囲で冷静にマイペースに行けば、周りはそれを軸にして旅の日程を進められるからそれで良い。お前は常に冷静にマイペースで行くんだぞ」

「……わかった」


 旅立つ前に、兄さんと姉さんの口ゲンカが始まったのをいつもの事って流して父さんの助言に答えたら父さんにマイペースって言われた。…………微妙に褒められてない気もするけど気にしないでおこう。




 家を出てから家族みんなで話てると、いつの間にか東門に着いていた。本当に楽しい時間は、すぐに過ぎて行くよね。でも、これから始まる旅は初めて大神林(だいしんりん)の外や別の村にも行けるし見た事もない道中の景色を見れるから楽しみだ。


 僕達が門に着くと人数を指差しで確認していた人が村長(むらおさ)に目線を送り、村長(むらおさ)がうなずくのを見て大きく息を吸い込む。


「よし、全員そろったみたいだな!! 知っているとは思うが、俺が今回の旅と交流会で黒の顔役を務めるラカムタだ。それと旅の先導でもある。さて、まず初めて旅をするものに言っておくべき事を言うから、ちゃんと聞いておけ」


 ラカムタさんの言葉とともに旅の参加者の緊張感が少し高まった。


「初めての旅で緊張をしているだろう。しかし交流会への旅は、それなりに長い。旅立つ前に緊張していると絶対に心身共にもたないから緊張しすぎるな。この旅の間に自分で気持ちの切り替えられるようになれ。それができるようになれば、お前達は一人前と呼ばれるようになるだろう。……それじゃあ、出発だ」


 うーん、ラカムタさんの言葉は父さんと似ていておもしろいな。父さんはマイペースに冷静にと言っていて、ラカムタさんは気持ちの切り替えが重要と言っていた。やっぱり何事も初めての事は緊張したり興奮したりして、いつもの実力を発揮できないんだろうね。


 確かに余り感情の起伏がない僕も、旅を考えて準備をしている時も多少は興奮していた気がする。……フゥー、これで自覚できたから少しは冷静に行動できるはずだけど、今後のために集中法みたいなものを考えた方が良いのかな? 一番単純なのは今やった深呼吸だけど……なんか普通だ。いや、すぐにできるから便利か。でも……なんか普通だ。


 ここは前世で見た漫画をまねて素数(一とその数以外では割れない数)でも数えてみよう。 二、三、五、七、十一、十三、十七、十九、二十三、二十九、三十一…………、と数えていたら兄さんの呼び声が聞こえた。


「ヤート!! 出発だぞ!!」

「……うん」

「また何か考え込んでたでしょう?」

「父さんとラカムタさんが言ってたように、精神的に落ち着くにはどうしたら良いのかなって考えてた」

「難しい事は考えんな。今から考えてもしょうがねえだろ?」

「ヤートはガルと違って考えるのが好きね。でも、ガルと同じような事を言うのは嫌だけど、考えすぎるのは良くないわよ」

「また俺をバカにしたな!! マイネ!!」

「あら、じゃあ聞くけど、ガルは考える事が好きなのかしら?」

「ぐっ……」


 兄さんが姉さんの質問に答えられずに黙ってしまった。


「ほら、やっぱり私の言った通りじゃない」

「……くそぉ」

「考えるのは良いけど、考えすぎるのは良くないか……。確かにそうだね。いろいろ考えて、なんか緊張してたみたい。兄さん、姉さん、ありがとう」

「おっ……おう!! 弟が困ってたら力貸すのが兄貴だ!!」

「当然、姉の私も弟に力貸すわよ」

「うん、頼りにしてる」


 前世では、病気のせいで家族との繋がりを感じる事はできなかったけど、今はいつでも感じる事ができる。兄さんと姉さんは弟に力を貸すのは当たり前って言ってたけど、それは弟も同じだ。弟だって兄や姉が困っていたら力を貸すのは当たり前だよ。


「エステア、三人は良い関係になっているな」

「そうみたい。これで安心して見送れるわ」

「そうだな……。ただ、もう少し周りを見てもらいたいところだな」

「まだ三人とも子供なんだから少しくらい良いわよ。でも、確かに今は周りを見ないとダメね。……あなた達、仲が良いのは良いけど、このままだと他の人達が出発できないわ」


 母さんに言われて僕達がハッとして周りを見ると、旅の仲間と見送りに来ていたみんなが微笑ましいものを見るような生暖かい視線で僕達を見ていたから、僕達は急いで移動し始めた。そうしていると母さんから声をかけられる。


「ケガや魔獣に気をつけるのよ。いってらっしゃい」

「「「いってきます」」」


 父さんと母さんにあいさつを済ませて東門を抜ける。どんな旅になるのか、緊張するけど楽しみだ。

最後まで読んでいただきありがとうございます。


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