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王城にて 確認と圧力

「「「「「…………」」」」」


 うん、すごい顔でにらまれてる。僕が説明し無いで鉱喰苔(メタルイーター)を発動したからしょうが無いんだけどね。自分でも試した事があるけど、あれは本当に感触が気持ち悪い。まあ、それはそれとしてと。


「身体の調子はどう?」


 僕が聞くと操られてた自分の身体を確かめるように、元奴隷の人達が身体の屈伸・飛び跳ね・軽い組手を始めた。


「どうやらわしの身体に問題無いようだな。お前さんらはどうだ?」

「少し鈍っている気がするが問題は無い」

「私も大丈夫」


 他の人も身体に問題無いみたい。


「みな大丈夫なようだな。みなを代表して礼を言わせてもらう。ケガの治療と隷属からの解放をしてもらい感謝する」


 操られてた人達の代表みたいになっている鬼人族(きじんぞく)のおじさんが頭を下げると、それを追うように他の人達も頭を下げてくる。


「僕は薬師みたいなものだから治療するのが僕の役目。それに解放も元の状態に戻すっていう意味じゃ治療に含まれるから気にしなくて良いよ」

「そう言ってくれるのはありがたいが、借りは借りで恩は恩。わしらの誇りにかけて必ず返そう」

「それでおじさん達の気が済むならそれで良い。……それじゃあこの後の話をしよう。おじさん達が操られてたのは事実だけど、王族を襲った事には変わり無いから、何か刑罰を受けなきゃいけ無い。それはわかる?」

「…………ああ、意識はあったから、自分達が仕出かした事は理解している」

「一応、王様におじさん達の刑罰の軽減とその後の生活の保証は約束してくれてるから大丈夫だと思う」

「重ね重ね、心づかいに感謝する」


 またまた、おじさん達が頭を下げてくる。しかも、さっきよりも気持ちを込めてた。


「だから気にしないで、ところでおじさんがまとめ役って事で良い?」

「この中ではわしが一番上になるから、そうなるな。わしは鬼人族(きじんぞく)のゴンザエモン、周りからはゴンザと呼ばれている」

「僕は黒の竜人族(りゅうじんぞく)のヤーウェルト、周りからはヤートって呼ばれてる。僕の右後ろが兄さんのガルドで、僕の後ろが姉さんのマイネリシュ、それで左後ろがリンリー。それと向こうに黒の竜人族(りゅうじんぞく)の顔役のラカムタさんがいる。それじゃあ、いっしょに王様のところに行こう。今の時点でのおじさん達への対応を聞いておきたいでしょ?」

「わかった。王への取次を頼む。お前達はここで待っていてくれ」


 おじさんが言うと他の人達は、うなずいてその場で座って目を閉じ瞑想したり運動や組手を始めた。……なんというか竜人族(りゅうじんぞく)の雰囲気に似てるね。竜人族(りゅうじんぞく)・獣人族・鬼人族(きじんぞく)なんかの亜人は基本的に体育会系なのかな? リンリーと姉さんに残ってもらって、僕と兄さんと鬼人族(きじんぞく)のおじさんは王様のところに向かった。……あっ、ハザランの事を言った方が良いのか。


「ゴンザさん」

「なんだろうか」

「王様達は今、ハザランの尋問をしてる。ハザランを見ても暴れないでね」

「…………わしらはお前さんに助けられた身だ。お前さん達の迷惑にならぬよう我慢しよう」

「ふん、どうだかな」

「小僧……」

「俺が同じ状況だったら、確実にハザランを見た瞬間に潰す。俺と似たような性格のおっさんが我慢なんてできるのか?」

「わしらはヤート殿に恩がある。その恩を仇で返す真似はせんわ。なめるな小僧」

「それなら良い。だけどな、俺はお前らがヤートに言った事は忘れねえ。少しでも変な真似をしたら潰すぞ」

「…………」


 だからなんで言われた僕じゃなくて、兄さんが殺気立つの? ……とりあえず王様にゴンザさん達の事を報告しに行こう。あと少しで王様達のところに着く時になって、ゴンザさんが立ち止まって深呼吸をし始めた。


「口だけかよ。おっさん」

「…………ふう、耐えられると思ったのだがな。まだまだわしも己を制御できぬ未熟ものという事か」

「誰だって隷属させられたら冷静でいる方が難しいと思うよ。少し時間あける?」

「いや、時間が経つほど怒りが込み上げてくるだろうから、できるだけ早くすませたい」

「わかった。行こう」


 再び王様達の方に行くと、近づく僕らにラカムタさんが気づいて僕らの方を向いた。そしてそれを見た王様達とハザランも僕らの方を向いた。


「王様、ゴンザさん達の首輪を外し終わった。身体の方にも問題は無いよ」

「へぇー、本当に僕の魔法を解除して首輪を外したんだ。方法を教えてくれない? あと、ゴンザさん、元に戻れてよかったね。おめでとう」


 ハザランが誰よりも先に、ものすごく友好的な感じで話しかけてきた。それを見たサムゼンさんと、話しかけられたゴンザさんが怒りで顔を歪め始める。 ……和やかには無理だけど、それでも静かに話したいんだけどどうしよう?


「「貴様……」」

「身動きができなくて魔力も封じられている僕に何を怒っているのかな? 巻き込まれた黒の竜人族(りゅうじんぞく)の方が冷静にしているのに比べたら、なんか……ヒッ!!」


 ハザランが話していると、突然空気の重さが増した。もしかしてって思いラカムタさんを見たら明らかにイライラしていた。あっ、不味い。とにかくラカムタさんに話しかけようとしたら、ラカムタさんが低く冷たい声でハザランに話しかける。


「なあ、ハザラン……、なんでお前は子供達が巻き込まれて俺が冷静でいられると思っている? あ?」


 少しずつ空気が重くなっていく中でラカムタさんが言い終わると、兄さん達・周りで作業している人達・遠くで待機している亜人の人達が動けなくなったり気絶したりするほどの莫大な魔力がラカムタさんの身体から放たれる。やっぱりこの重い空気の発生源はラカムタさんだった。そのラカムタさんを見てハザランは、絶望の表情を浮かべていると、さらに空気の重さが増す。僕が思わず新しく現れた重い空気の発生源の方を振り向いたら鬼熊(オーガベア)破壊猪(ハンマーボア)だった。


「ガア」

「ブオ」


 二体は完全に敵意を剥き出しにしてこっちに近づいてくると、二体がそばに来るだけで今までラカムタさんの魔力の圧力に耐えていた人達が次々と気絶していく。二体はラカムタさんを挟んで並ぶとラカムタさんと合わせるようにハザランを威圧しだす。その結果、ハザランが本当に重りを乗せられたかのように地面に倒れて、次にハザランが倒れた地面がひび割れハザランごと陥没し始めた。


 どうやらラカムタさんと鬼熊(オーガベア)破壊猪(ハンマーボア)の圧力が強すぎて、本当に物理的な圧力になってハザランを押し潰しているようだ。あ、ハザランの身体からメキメキとかパキッていう音がする。確実に骨が折れてる音だね。この感じだと内蔵にも影響してそうだ。普段から鍛錬を欠かしていないサムゼンさんでも耐えられ無いような強さの圧力のはずだから、魔法使いのハザランには辛いとか痛いっていうレベルじゃ無い。この分だと……、うん、バキンっていう一番大きい音がしてハザランは白目を向いて動かなくなった。


「ラカムタさん、鬼熊(オーガベア)破壊猪(ハンマーボア)、やり過ぎ」

「こいつが、このぐらいの目に遭うのは当然だろう」

「ガア」

「ブオ」


 その後、目覚めたハザランは完全に心が折れていてラカムタさん・鬼熊(オーガベア)破壊猪(ハンマーボア)がほんの少しでも視界に入ったら、すぐに気絶するっていう状態になっていて、尋問はそこからは順調にいけたらしい。

最後まで読んでいただきありがとうございます。


注意はしていますが誤字・脱字がありましたら教えてもらえるとうれしいです。


感想・評価・レビューなどもお待ちしています。

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