表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
314/318

決戦にて 揺るがない弱者と動揺する強者

 キリキリキリキリ……、発射。キリキリキリキリ……、発射。キリキリキリキリ……、発射。キリキリキリキリ……、発射。キリキリキリキリ……、発射。キリキリキリキリ……、発射。キリキリキリキリ……、発射。キリキリキリキリ……、発射。キリキリキリキリ……、発射。キリキリキリキリ……、発射。キリキリキリキリ……、発射。


「「「「「ギギャアアア‼︎」」」」」

『ウグ、ク、オ、オノレエエエエ‼︎』


 このねじった魔槍は、あいつの身体も魔石も貫通できてるから僕だけで威力を出すっていう目的は達成できてる。ただ……。


「これ魔槍を一本一本ねじるのに時間がかって連射性が低くなるから使いづらいな」

『……いや、十分効果的だろう』

「そう?」

『私も即興で、この威力を出せているなら十分だと思います』

「うーん……、あ、そうか」


 僕は根本的な事に思い至り魔槍をねじってから撃つのやめた。その代わり両手をあいつへ向かって伸ばして目を閉じた。


『ヤート、待て。何をするつもりだ?』

「魔槍を作ってねじって発射するっていう三段階を高速で繰り返す魔法を作ってる」

『『は?』』


 なんかシールと世界樹が僕の返答に唖然としてるみたいだけど、今は魔法の構築に集中する。さっきまでの魔槍をねじって発射するのは前世のドリルを参考にした。それなら次に参考にするべきなのは…………銃だね。つまり僕自身を銃弾をためて供給する弾倉(マガジン)に、両手を銃身に見立てて機関銃(マシンガン)を魔法で再現する。


緑盛魔法(グリーンカーペット)純粋なる緑の(グリーンインパクト)魔槍銃(ランスガン)


 僕は目を開け魔法を詠唱すると、すでにねじられた魔槍が現れ、そのまま発射された。そして次の瞬間には、またねじられた魔槍が現れて発射される。お、ノリと勢いで作った魔法にしては意外と良いかもしれない。あとは続けて使った時にどうなるかだね。




 しばらくあいつに向けて純粋なる緑の(グリーンインパクト)魔槍銃(ランスガン)を発動しても、特に問題が起きない。これは大丈夫だなと思っていたら、突然両掌にピリッと痛みが走る。僕が両掌の状態を確かめる前に、それは起こった。


 バツンッ‼︎


 僕の両掌が弾けた。魔法を止めて両掌を見ると掌の肉が飛び散り骨がむき出しになっていて指も何本か無くなっている。


「うーん、魔法の制御を失敗したかな?」

『ヤート‼︎』

主人(あるじ)‼︎ すぐに治療を‼︎』

『フ、フハハハハハハ‼︎ ジブンノマホウデキズツクトハ‼︎』

緑盛魔法(グリーンカーペット)純粋なる緑の(グリーンインパクト)魔槍銃(ランスガン)

『ヤハリ、キサマラハオロカ、ダバア‼︎』


 シールに言われたけど、僕は両掌を治さずに両腕を伸ばして魔法を発動させ、大きく口を開けて叫んでるあいつへねじった魔槍を撃ち込んでいった。あー、やっぱりこの魔法は制御が難しいな。両腕がどんどん魔法の負荷に耐え切れずに吹き飛んでいく。


『ヤート、今すぐ、その魔法をやめろ‼︎』

『そうです‼︎ やめてください‼︎ 肩までの肉と骨が全て吹き飛んでいってるので、このままでは出血死もありえます‼︎』

「さすがに出血死は困る。水生魔法(ワータ)緑盛魔法(グリーンカーペット)純粋なる緑の(グリーンインパクト)強薬水液(ハイハーブリキット)


 薬草団子が入っている腰の小袋の一つを水生魔法(ワータ)の水に浸して薬草団子を溶かし魔法を発動させると、深緑色の液体ができて腕のなくなった肩口を覆う。今回は粘性を上げているから、これで出血を防ぎつつ両腕を再生できるね。


『ギ、ギザマ……ジョウギガ?』


 うん? ジョウギガ? ……ああ、正気か? か。あいつの顔に魔法を撃ち込んだせいで、また声が聞き取りづらくなってるな。


「変な事を言うね。僕はいたって正気だよ」

『ブ、ブザゲルナ‼︎ ジョウウギナラ、ジブンノウデヲ、ブギドバジデ、ベイギデイラレルワゲガナイ‼︎ ギザマ、イタミヲガンジナイノガ⁉︎』

「お前、頭悪いのか? 両腕が吹き飛んでるんだから痛いに決まってる」

『ナラバ、ナゼ、ゾゴマデレイゼイデイラレル⁉︎』

「…………逆に聞きたい。何で、たかが両腕が吹き飛んだぐらいで騒がないといけないの?」

『ナンダド……?』

「僕とお前を比べたら、どう考えても僕の方が圧倒的に弱い。それならそんな弱い僕が命がけで戦っている時に、たかが両腕が吹き飛んだぐらいで隙を見せられるわけがない」

『『『…………』』』


 あれ? 何かシールと世界樹まで絶句してる。……まあ、別にやれる事をやるだけだからどうでも良いか。僕は強薬水液(ハイハーブリキット)で再生しつつある両腕を、あいつの方へ伸ばす。


「それじゃあ、また我慢比べをやろうか」

『ヤート、止めろ‼︎ 我はもう少しで動けるようになる‼︎ それまで待て‼︎』

主人(あるじ)‼︎ せめて私が補助できるまで待ってください‼︎』

「聞いての通り、もう少しでシールと世界樹の体勢が整う。それまで僕がお前を攻め続けられたら僕の勝ち。逆に僕が自分の魔法の負荷で潰れたらお前の勝ちだ。理解できた?」

『グルッデル……。ギザマバ、ゼッダイニグルッデル‼︎』

「へえ、この世界を滅ぼそうとしてるお前から見ても僕はおかしいんだ。それなら何の問題もない」

『ナニ……?』

「僕の精神性や思考が理解できないって事は、その点ではお前より僕の方が上って事。一つ勝ってる部分があるなら、この命がけの勝負にも勝てる可能性があるって事だ」


 僕が言い切ると、シール、世界樹、あいつが驚愕で目を大きく見開いたけど、すぐにあいつだけは僕を殺意と怒りに満ちた目で見てくる。


『……リガイジダ‼︎』

「何を?」

『ギザマダ‼︎ ギザマヲゴロゼバ、ゴノゼカイバ、ドウドデモナル‼︎』

「そういう事は僕の魔法に耐え切ってから言うべきじゃない? そうじゃないとできない事を叫ぶ、ただの情けない奴だよ?」

『ガナラズ、ゴロジデヤル‼︎』

「良いね。僕もお前もやる気に満ちている。それじゃあ二度目の我慢比べの始まりだ。緑盛魔法(グリーンカーペット)純粋なる緑の(グリーンインパクト)魔槍銃(ランスガン)


 さて、シールと世界樹が動けるようになるまで、もう少し頑張ろう。

最後まで読んでいただきありがとうございます。


注意はしていますが誤字・脱字がありましたら教えてもらえるとうれしいです。


後書きの下の方にある入力欄からの感想・評価・レビューもお待ちしています。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ