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黄土の村にて 進み始めた厄介事と共闘の予感

 次の日になりチムサが、リンリーとイリュキンの二人と少しビクつきながらも、いっしょに行動するようになった。少しでも二人の気配を感じたら頬を叩いて気合を入れないといけないのに、よくいっしょに行動しようと思えるな。僕もあの後の三人が何をしてたのか気になると言えば気になるけど、兄さんやクトーが二人に何をしたのか聞いてもニコニコしながら黙ってるから聞かない事にした。


 世の中には知らない方が良い事もきっとあるっていうのを黄土(おうど)の村の門の近くで考えていると、姉さんに話しかけられた。


「ヤート、今日は散歩に行かないの?」

「行くつもりだったけど、入れ違いが面倒くさいからここで待ってる」

「……誰の事を言ってるの?」

「黒の狩人(かりうど)二人が全速力で黄土(おうど)の村に向かってきてるんだ」

「「…………」」


 兄さんと姉さんは全速力という単語に反応してピクッと眉を動かす。ただ訪ねるだけならゆっくり来ても良いのに走ってるという事は、急ぎの要件があるって事だ。もし、その要件がラカムタさんや黄土(おうど)へなら、狩人(かりうど)達とは門近くであいさつをして僕は散歩に行けば良い。でも、もし僕に用があるなら、僕が散歩に出ると誰かが僕を探しにくる必要が出てくる。それにもしかしたらラカムタさんとも話を交える必要が場合もあるから、やっぱり門近くで待っているのが一番効率的だ。




 しばらくすると狩人(かりうど)の二人が見えてくる。二人は僕達が門の近くで待っていた事に一瞬驚いていた。


「ヤート、久しぶりだな。その様子だと赤の村長(むらおさ)との決闘のケガは癒えているみたいだな」

「久しぶり。自分で大まかに治療して食べて寝たから完治してるよ」

「無事で何よりだ。……ヤートが門の近くにいるという事は散歩に行くところか?」

「そう。でも、二人が全速力でこの村に近づいてたから何か急ぎの要件があって、もし、その要件が僕に関係あるかもしれない考えたら入れ違いは面倒くさいなって思ってここで待ってた」

「ヤート、正解だ。俺達はラカムタとヤートに意見を聞きたいと思っていたところだ。悪いがしばらく付き合ってくれ」

「わかった。ラカムタさんのところに行こう」




 いったん四体とは門で別れて、僕達は広場に向かうとラカムタさんがカイエリキサさん・グレアソンさん・イーリリスさんと何かの打ち合わせをしていた。すぐにラカムタさんは狩人(かりうど)二人が戻ってきた事に気づきけげんな顔になる。


「お前達、どうしたんだ? 黒の村で何かあったのか?」

「厄介な方向に事態が転がるかもしれないからラカムタとヤートの意見が聞きたい」

「私達は席を外しますね」

「聞かれて困る事ではないから黄土(おうど)村長(むらおさ)達もいてもらって大丈夫だ」


 カイエリキサさん達は一瞬三人で目線だけでの会話をした後、小さくうなずいて一歩下がった。ラカムタさんも三人の対応に頭を下げて返礼すると僕達に近づいてくる。


「それで何があった?」

「俺達は黒の村に帰ると、そこにはサムゼン殿がいたんだ。どうやら王城からでもヤート魔法が見えたみたいで、あれだけの大規模な魔法を使う状況を知りたかったらしい。特に隠す事でもないから村のみんなに説明するついでに、サムゼン殿にも黒の村を出発してからの一連の流れを説明した」

「……そこまでは普通だな」

「ああ、ただ問題は俺達がリザッバの事を説明した時だな。急にサムゼン殿が険しい顔になり、リザッバの見た目や言動なんかを詳しく聞いてきた」

「サムゼン殿も、あいつを知っていたのか……」

「いや、どうやら王城や王国を騒がせている集団と関係があるかもしれないと考えたらしい」

「つまり、サムゼンさんは僕にリザッバの事を聞きたいの?」

「そうらしいな。ラカムタ、どうする? またヤートが面倒くさい事態に巻き込まれる可能性があるぞ」


 …………どうしても面倒事は僕の方へやってくるらしいね。あとサムゼンさんについてブツブツ言ってる兄さんと姉さんについては無視しておく。


「…………ヤート、お前はどう思う?」

「うーん……、王城や王国を騒がせている集団についての情報が知りたいかな」

「サムゼン殿と会うって事だな?」

「そうだね」

「わかった。カイエリキサ殿」

「何でしょう?」

「急で申し訳ないが、明日俺達黒は黄土(おうど)の村を出発する」

「名残惜しいですがわかりました。前に言いましたが、手を貸してほしいと思ったなら遠慮なく声をかけてください。黒には村を救ってもらった大恩もありますし、あのリザッバと同類がいるなら必ず滅ぼします」


 カイエリキサさんが宣言すると、黄土(おうど)の他のみんなも闘志を燃やしていた。


「それなら青も同じです。私達の力もいつでも貸すので声をかけてください」

「潰しがいのある相手がいるなら、赤も参戦させてもらうよ。うちには力の有り余ってる奴らも多いから戦いの場はできるだけはほしいのさ」

「野蛮ですね」

「好きに言ってな」


 これはもしかしたら四色の共闘になるかもしれない。あ、僕が白だから五色か。それに四体もいるし、とりあえず負ける気はしないね。

最後まで読んでいただきありがとうございます。


注意はしていますが誤字・脱字がありましたら教えてもらえるとうれしいです。


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