青の村への旅にて 水と秘めた力
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こちらの作品は「日本」の「小説家になろう」に投稿している作品です。
タイトル:ひ弱な竜人
作者である「白黒キリン」の許可なく無断転載はしないでください。
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以下本文の文字数稼ぎ
あめんぼあかいなアイウエオ
トマト
キツツキ
がけでけが
しんぶんし
しめじめし
さて、青の村か。父さんやラカムタさんの話だと、対岸に真っ直ぐ行くのに一週間以上かかり湖の周りを一周するのに数週間かかるくらいの、ものすごく大きな湖の湖岸に村があるらしい。前世の日本だと琵琶湖が一番大きな湖だったかな。結局、実際に湖を見る事は無かったから、前世を合わせても生まれて初めてか。うん、本当に楽しみだ。
「楽シソウデスネ」
「生まれて初めて湖を見れるから楽しみ。ディグリも植物だから水の集まる湖を見るのは楽しみじゃないの?」
「ソウデスネ。少シハ楽シミデスガ私ヲ含メテ植物ニトッテハ、コノ大神森コソガ楽園デスネ」
「そういうものなんだ」
「ソウイウモノデス」
植物にもいろいろあるんだなって改めて思った。まあ、僕の感覚が正しければ大神林の植物は他のところの植物よりワサワサと元気なのは確かだからディグリの言う通りなんだね。
大神林を出てしばらく行くと辺りがひらけて見通しが良くなった。僕を乗せるのは一日交代らしく今は鬼熊の背中に乗ったままで遠くを見ると、太陽の光が反射してキラキラ光っている帯状のものが見えてきた。あの帯みたいなのは平地を横断してるけど、あれは何だろ? 僕が不思議に思っていたらイリュキンが近づいてくる。
「ヤート君、青の村に行くまでの一つ目の中継地点が見えてきたよ」
「中継地点……方向から言って、平地を端から端まで横断してるあのキラキラ光ってる帯の事?」
「そう。あの遠くに見える帯が我ら青の竜人の聖地である「大霊湖」に続く大河の一つだよ」
「え、あの帯って川なの?」
「距離があるから細い帯にしか見えないけど、近くまで行けば大きさを実感できるさ」
「大きい……」
僕は唖然として思わずつぶやいてしまった。それくらい今目の前にある川は対岸が霞むくらい大きく、流れてくる端と流れていく端が霞んで見えないくらい長い。ラカムタさん達も僕と同じような感じだから、僕のこの感覚が間違ってないみたいで良かった。
「ふふふ、驚いてくれて何よりだ」
「父さんから青の村がある湖は、ものすごく大きいって聞いてたけど、こんなに大きな川がいくつも流れ込んでるんだから本当に大きいんだね」
「まあね。下手に湖の中央部に入り込むと、どっちが陸地なのかわからなくなって、死ぬまでさまようくらい大霊湖は広いよ」
「湖と共に暮らしてる青でも、迷うんだ」
「黒だって大神林の奥には行けないだろ? それと同じさ」
「あー、確かにそうだね。住んでても行けない……は違うな。すぐそばに住んでて、危険だとわかってるから行かないところもあるって事か」
僕がイリュキンの言葉に納得してるとラカムタさんが少し離れたところから声をかけてきた。
「イリュキン!! ヤートは例外だからな!! そこのところは間違えるなよ!!」
……ラカムタさん、僕が大神林の奥まで行ってるのは事実だけど、それってわざわざ大声で言う事? イリュキンも、どう反応したら良いのか困ってるよ。
「……ゴホン!! おっと、すまない」
イリュキンが気を使ってくれたのか、咳をして微妙な空気を動かしてくれた。うん、やさしいね。僕も、このまま流れに乗ろう。
「この大河が大霊湖に流れて行くって事は、この後は大河の流れに沿って進んで行くの?」
「その通り」
「そうか、これなら水がすぐそばにあって、いろいろと安心だ」
「へえ、水を植物から受け取れて食べれる植物をすぐに育てられるヤート君でも、そういう心配はするんだね」
「食料はともかく、使える水があるに越した事はないよ」
「植物と意思を通わせるヤート君だからこその実感か」
僕がイリュキンと話してたら破壊猪が川に近づいて水の匂いを嗅いだ。そしてカッと目を開いて水面に口を着けたと思ったらゴクゴクとすごい勢いで川の水を飲み始めた。……はっきり言って見てる方が心配になるくらいの量を飲んでるけど大丈夫なのかな? しばらく僕達が見守っていると今度は鬼熊も僕を乗せたまま川に近づいていく。そして川の水を一舐めすると破壊猪と同じように、見ている方が心配になる勢いで川の水を飲み始めた。
「鬼熊、破壊猪、そんなに飲んで大丈夫?」
「「…………」」
うん、完全に夢中になって飲んでるね。さすがに心配になったから鬼熊に同調して身体の状態を確かめてみる。……これは? 僕は振り返ってイリュキンに聞いた。
「イリュキン、この川の水って魔力含んでる?」
「そうだね。大霊湖に繋がる全ての大河の水には魔力が含まれてるよ」
「ヤート君、それがどうかしたんですか?」
「川の水を飲んでる鬼熊の体内魔力量が増えていってる」
「ああ、なるほど、高位の魔獣ともなれば器が強固で巨大だ。きっと、いくらでも川の水に含まれている魔力を吸収できるだろうね」
「しかも、この水は美味しいみたい」
「だから、こんなに夢中になって飲んでるんですね」
「そういうこ……って、リンリー!! いつの間に!?」
イリュキンが驚いてたからリンリーの説明をしておこう。
「リンリーなら鬼熊が川の水を飲み始めたくらいからいたよ」
「そうです」
「……気づかなかった」
「それが普通なんですけど、なんでヤート君は私がわかるんですか?」
「同調のおかげかな」
「……次は驚いてもらいます」
「そういう事なら次は私もリンリーを捕捉してみせるさ」
僕の同調とリンリーの気配と姿を消す隱形とイリュキンの霧を用いた水圏の勝負が決まった。やっぱり感覚とか技術の勝負の方が僕としては好きだね。こうして僕達三人が見合っていると、少し離れた場所でバキバキっていう音が聞こえてきて、僕が音のする方を見たらディグリが二ルーメくらいに成長していた。
「スイマセン。会話ノ邪魔ヲシテシマイマシタ」
「気にしないで。ディグリも川の水を吸収してたんだね」
「ハイ、気ニナリマシテ」
ディグリの足下を見ると地面に埋まっていて、足の形にまとめていた根を解いて土中から染み込んだ川の水を吸収しているようだ。直接川の水に根を浸けて吸収してるわけでもないのにディグリを成長させるこの水はすごいな。…………よし、試してみるか。僕は思いついた事を実験するために鬼熊の背から降りた。
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