ぷろろーぐ
「むぅ」
起きたら木に囲まれていたでござる、しかもマッパで。マジ意味不
しかも幼女である。ロリである。ペド――――はまた別か。短い手足。腿まで届く艶のある黒い髪。烏賊っ腹でつるーんぺたーんすとーんな寸胴ボディ。ついでに頭上にはケモノ耳と腰にふさふさのキツネのっぽい黒い尻尾。けもっ娘なロリとか大きなお友達垂涎ものですね
「なんでやねん」と空中に裏拳までいれてズビシッと ツッコミを入れたオレは悪くないはず
とりあえず現状を把握する為に自分の事とここに来る前まで何をしていたか思い出す
名前は……思い出せない。ぱっとしない顔の23歳の小デブな男だったことは思い出せるんだが。家族構成は父、母、妹×3でペットが猫で皆の名前も思い出せない。自営業で親と一緒に働いていて、何時も通り仕事終わった後に自分の部屋で二次創作をベットに横になりながら携帯で見て……見て…………思い出せない。で、現状に至ると
マジ意味不、どんなに考えても意味不。重要な事なので2回言いましたよえぇ。
一応今までに経験したこととか自分の中の常識をすっ飛ばして考えた場合類似する事例はある訳だけれど。だって……ねぇ。いきなり見知らぬ場所にいて「これはトリップだ!」とか考えるほど妄想戦士だった訳でもない自分からすればこれはまだ現実か夢かわからない状況な訳で。9割9分9厘9毛希望的観測含め夢だと思ってるけど、なんか妙にリアルだし?一応夢の中で痛覚とかを感じたこともあるけど今回みたいに考える事が出来る事はなかったのよね。こう、なんというか、夢の中ではちょっと思ったことを疑問も思考も挟まず物理法則やらなんやら諸々無視してそれをしてる……みたいな?
考えが逸れた
今真っ先に考えなきゃいけないのは現状をどうにかすることだ。手持ちの物を確認……マッパでしたね。周りの状況、木ばっか故に危険度等諸々不明。オレ自身、幼女、そんでけもっ娘。幼女だけどけもっ娘だからなにかしらプラス補正があると信じたい。世界観、知らん。とりあえずオレが獣人か妖怪として想定してみる
case①
異世界ファンタジー
「汚物(亜人)は消毒だぜヒャッハー!」or「ウホッ、いい奴隷」or「今日から貴女は便器です(性的な意味で)」
……なにそれ怖い
case②
現実古代〜
「貴女妖怪(化物)だから滅しちゃうけど、いいよね?」or「妖力たったの5か、ゴミめ」
サーチアンドデストロイですね分かります
case③
現実現代
「フハハハハ、科学の礎となるがいい!」or「君可愛いね、よーしおじさん頑張っちゃうゾ!(性てry)」
殺されるのとどっちが酷いだろうか
case④
オカルト現代
「妖怪には死あるのみぃぃ!」or「貴女たちには殺し合いをしてもらいます(in戦場)」or「僕と契約して使い魔になってよ」
なぁにこれぇ
妄想とネタがかなり含まれてるけどどれも有り得る可能性だよな。てか全部BAD ENDへの直行便じゃないですかやだー
こうなったら藁にもすがる思いで「目覚めよ、我に秘められし大いなる力よ!」をするしかあるめぇ!
なんとなく、本当になんとなくだけどいける気がするんだよ
燃え上がれオレの○宇宙!みんなオラに元気を分けて下さい!行くぞ、ピリオドの向こう側へ!
「ふおぉぉぉぉぉぉぉ!!」
み・な・ぎ・っ・て・き・た・あ・ぁ・ぁ!!!
ピコン
―繋がる程度の能力―
「……………………え?」
◇◇◇
まさかの東方だったでござる。それとも東方要素を持った別世界?判断材料が少なすぎて困る。むしろ東方の判断材料って妖怪とかだしそれって会った時点で死亡フラグだよね。つか、「繋がる程度の能力」ってなにさ。何と繋がれと?人との繋がりとかそういう言葉があるけど善悪の区別つけられる気がしないんだが。もしかして、ホースみたいなので繋がってると仮定して高いところから低い所に水が流れるように妖力とかを自分に流れるように出来るのだろうか。場合によっては吸い上げることも?
「どっちにしろ対象が居ないとどうにもならんが」
この時オレは考え事に夢中で忘れていたんだ。オレが今言った言葉がフラグだったことを
「あれ、なんかヤな予感が」
◇◇◇
皆さんご存知だとは思うが、よく漫画等の中には「お約束」という物が存在する。ピンチに目覚める新たな力、ライバルとの共闘、躓いた主人公たちに手を差し伸べる謎の人物等プラスになる物や、あっさりと死ぬ主人公より強い臨時メンバー、死闘を繰り広げ倒した敵が主人公の恋人や親友だったなどのマイナスになるような物まで様々だ
オレにもお約束があって、仕事場で歩けばコードに足を引っ掛け、外出すれば雨が降り、車に乗ればよく信号で止まり、しゃがめばテーブルに頭をぶつける、(トラブル)フラグを立てた時に嫌な予感がするとフラグが回収される等ショボい物だがたしかにあるのだ
つまり何が言いたいかと言うと
「いぃぃぃやあぁぁぁぁぁ!!」
ある日 森の中 蜘蛛さんに 出会った♪やったね、KUMAとKUMOで一文字違いだよ!何が「よかったね」だアホゥ!つかデカイよデカ過ぎるよ蜘蛛さんまじパネェ!パッと見2メートル位あんですけど多脚戦車ならぬ多脚蜘蛛ですねって元から蜘蛛って多脚でし
キシャァァ
「ギャァァァ!こっち来んなあっち行け涎垂らすな牙カチカチさせてんじゃねぇてか速いよ速いですよ速いでごぜぇますよコンパスの大きさの差ですね分かりますって木へし折りやがったよこいつってかすったそんな大きな石飛ばしてくんな糸吐くな死んじゃう死んじゃうからヘルプヘルプヘルプヘルプヘルゥゥゥゥゥプ!」
焦りすぎてテンションMAXつか息切れないし疲れないしこの体超便利だけど、前の体より身体能力高くてちょっと凹みそう。そんな余裕ないけどな!
「うにゃぁぁぁぁ!」
速く速く速くぅぅぅ!駆けろ風の様に駆け抜けるんだ!
「横に避けろ!」
「え?あ゛っ!」
その声と同時に前方から飛んできた剣を思わず見送ってしまい足元が疎かになった結果木の根に足を引っ掛け勢いで空中に体が投げ出されてしまう
「ちぃっ」
スローモーションになる視界の中舌打ちが聞こえた方を見ると、剣や斧、槍みたいな武器やよくわからない物がこっちに向かって飛んできていた。飛来物はオレには当たらず(かすったりはしたけど)後ろの蜘蛛に殺到。そして何故か爆発。爆発の衝撃で吹っ飛ばされ、激痛と共に意識が暗転していく
うふふ、もう横に避けても関係……ないです…………やん
ガクッ