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北風と太陽





光輝いてることのなにが偉いんだ

『人』は俺を見あげ喜ぶ

『植物』は俺のおかげで色艶良く成長する


唯一嫌がるのは夜行性の奴等くらいか?でもあいつらは俺がいるときは寝てるから面白くもねぇ




『太陽神』なんて大層な名前を貰っても、空の神々の統括を任されても毎日毎日仕事で疲れるだけでくそめんどくさい



そんなくっっっだらねぇ毎日の楽しみは『アイツ』だけだった










「お前!!!仕事しろよハゲ!!光ってんじゃねーよ!!」

「輝いてんのは頭じゃ無くて服だっつーの。あぁ、雨雲行かなくて良い。そのまま俺を隠しとけ」


「…………なら風神をなんとかしてくださいよー」



毎度毎度ピーピーギャーギャー喚く風神

その姿は、まばゆい光で直視出来ない俺に対抗していくつもの竜巻に覆われて見ることも出来ない。が、面白いんだこいつは


躍起になって雨雲を退かそうとしてるが、俺がにっこり笑いながら『消滅したいか?』と脅したせいか雨雲も必死にそれに抵抗する。



結果、俺の居る場所を中心に広がるように大きな台風が出来上がる


「お前がちゃんと仕事しないとな!!下界の植物たちが泣くんだよ!!」


「へーそう。あ、雨雲せんべい食べるか?」


「きっさま、人の話しを聞けええええええ!!」


「もー、やめてくださいよー!!」



わかってんのかこいつは

風神と雨雲が激しくぶつかり合えば合うほど余計に台風が強くなって植物たちが困ることに


バリッと稲神から捧げられたせんべいを食いながら、嘲笑いながら風神を見る


わかってないんだろうなー、こいつ頭弱いからなー、面白いよなー



「だいたいお前はいつもムカつくんだ!!空のてっぺんから偉そうに見下すくせに、俺はイケメンすぎるからとか良いながら自分の姿も光で見えなくさせて!!いっぺん死ねハゲ!!このゴールデンハゲ!!」


「あははだって俺イケメンだしー。それにんなこと言ったら風神だって自分の姿竜巻で隠してんじゃん」


「はっ、そんなの悔しいからお前には見せないだけで夜は普通にしてるっつーの。俺は、お前とは違ぁぁぁぁう!!」



ビシィッと効果音がつきそうなほどノリ良く人差し指が竜巻から出てきた。その手はか細くて小さくて、一応女神なのは推測出来る

………が、俺にわかるのはそれだけだ。しょっちゅう俺に絡み付いて来る風神について俺がわかるのは


馬鹿

バカ

頭が弱い

口が悪い

阿呆


これくらいだ




「だいたいさー、そんなに俺の服にいちゃもんつけてさー、風神俺のこと脱がしたいの?やーんえっちー」


「殺す絶対殺す。誰がお前なんかの裸に興味があるか!!俺は、光るなっつってんだよ!!」


「光らないと俺、仕事出来ないんだけどー」


「うるせぇ!!たまには光るなよ………たまには、お前に恋した子達とちゃんと向き合ってやれよ……」



急に震え出した声

悔しそうな苦々しい声


太陽に焦がれ、恋をすると言うといつも俺の方を向いてる向日葵あたりか。

正直俺は話したこともないのに恋とかあり得ないと思うが……


そよ風になって地上を巡ってたときにまーた協力でも頼まれたんかねぇ



風神、バカだから

バカ正直だから


きっと雨雲で隠れて仕事をさぼるなってのも向日葵たちが俺に逢いたがったからとかじゃねーの



「風神……お前がそんなに言うなら仕方がないなぁ」


「え……光の衣脱ぐのか!?」

「お前が俺に恋してるっつーなら仕方がない。ほら抱いてやるから来いよ」



たっぷり三秒ほど、場が静寂に包まれる


あー、バカだから混乱してるんだろうな。本当に面白いよ



「だぁぁぁぁぁれが、お前なんかに恋をしてるかああああああ!!!」



「あははははははっ、」


「にや゛ー!!もう二人とも勘弁してくださいよー!!」








『大型で非常に強い台風13号は、発達しながら北寄りに進み、明日午後には本州に上陸する見込みです!!最大瞬間風速が70メートルに達する記録的な暴風となる見込みですので皆さん暴風対策をしっかりしてお出かけしてくださいね!!』












「あー、おもしろ」


「……こっちは全然楽しくないですよー」



あの後

風神は力を使いすぎてへろへろになって帰っていった


結果、台風が突然霧散して今はのんびり雨雲と空を漂ってる



「悪い悪い。でもあいつ面白くってさ」


「好きな子いじめも程々にしないとー、よそに取られちゃいますよー?風神さんは可愛らしいから地上でも人気ありますしー」


人聞きならぬ発言に突っ込みかかるが、それよりもさらに気になる発言があった


風神が、可愛らしい?


「いや別に、俺あいつ女として思ってねーし。って、あいつ可愛いの?俺のイメージ野生児なんだけど」


「それなら他の男に取られちゃうだけですねー。風神さんは可愛いですよー、んー、星神様と同じくらい可愛いかなー。あー、今の星神さまにも風神にも内緒でお願いしますねー」


へぇ

風神が可愛らしいねぇ?

ってか、俺は一度もあったことがないのに雨雲はあったことがあるのか


胸の中にまでなんだか雨雲がかかったようにモヤモヤする。なんかムカつく



「……今度、あいつの竜巻剥いてみるか」


「強姦はよくないですよー……」



















「はぁ?勝負?」


「そーそー。お前が勝ったら俺は光の衣を脱ぐよ。その変わりお前が負けたらその竜巻どかせ」



翌日も朝一番に来た風神にそんな勝負をもちかけてみる

天気は快晴送風。今日は余計な茶々を入れる雨雲も、やたら風神の肩をもつ雲もいない



「お前……なに企んでるんだよ」



あからさまに警戒をされるが、そんなことに意味はない



「ん?風神がいつも五月蝿いから妥協してやったんだけど、そっかー風神は勝つ自信が無いのかぁ。まぁ、俺強いしねぇ」



何故ならこいつはバカだから



「受けてたってやろうじゃねぇかこのナミヘイハゲがああああ!!」



ナミヘイって、何?















「勝負は一本。互いに制限時間は五分。内容は……そうだな、どうする?」


「なんでも良いからかかってこいよ!!」


「じゃあ、俺たちのどちらかが脱ぐってことから、あの男の服を一枚でも多く脱がした方が先な」



そう良いながら地上を歩くスーツを着た真正ハゲをご指名すると風神はうっ、と言葉に詰まった



「ちょ、まて、それはお前に有利じゃ、」


「なんでも良いんだよな?じゃあ風神からハイスタート」


「ええええええ」





風神の力は、風を操るだけだ

風神はスタートに慌てて強風をハゲに送るが、ハゲはむしろ風でなびく薄い髪を……いや髪型を守ろうとするばかりで脱ぐ気配は無い




そしてあっという間に五分がたった。服は脱げてない。むしろ帽子が追加された



「くそっ、ずりぃぞ!!」



「じゃあ俺な」



ああ




楽しくて仕方がない。




悔しそうな風神の横で、俺は光の出力を上げる






まぁ当たり前だが、暑くなるとハゲは速攻でスーツを脱いだ。帽子は被ったままだったが






「勝負あり、だな」


「くそっ、」



悔しそうな悔しそうな風神の声に笑っていると、ふっと竜巻が霧散した



俺が笑っていられたのはそのときまでだった



「これでいいのかよ……」




唇を悔しそうに尖らせ

涙目で睨んでくる


綺麗、より可愛いが似合う腰まで綺麗な銀髪で覆われた少女



「……………」


「な、なにかいえよ」



やべぇ

可愛い、いじめたい、泣きながらすがりつかれたい


そのぷるんとした唇から喘ぎ声を出させたい



まぁ、元々風神のことは気に入ってた訳だし


「お、おい…?」



「…………雨雲、大至急来い」


「へ?」




さらに気に入った訳だし



「なーにー?」



「俺を犯罪者にしたくないなら、今すぐに俺たちを隠せ」


「え、ちょ、なんだよ」


「……隠したって犯罪は犯罪だよー?」


「世の中には事後承諾っつー言葉があるんだよ」





落としても良いよな?


そして俺は雨雲の中に風神を引きずり込み

お望み通り光の衣を脱いでやった。むしろ風神の服は全てはぎ取って全て頂いた




「何が悲しくて人様の情事を隠さないといけないのー。もー、僕一番不幸じゃないー?」




END



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