表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/5

第4シャッター

遅れおそばした ノ;



『ニャーオ、ニャピッ』



私は、鳴ったアラームを直ぐさま止めた。



「眠れなかった・・・」


はぁ・・・、

と、私は溜め息を一つ吐く。



結局あの後、

オバサンに散々説教され、

疲れ切った状態で自室に戻ったが、

苛々は晴れる事は無く、

ずっと苛々しっぱなしで、

眠る事が出来なかった。



「はぁ、行かなきゃな・・・」



しかし、いくら身体が疲弊しようと、

一睡も出来なかろうと、

世界は『まわり』、お日様は昇るのだ。






「イッテキマース・・・」


誰もいない家の中に声をかければ、

玄関を開け、外に出る。


『ガチャリ』と、鍵をかけ、

歩き出したのだが、

いきなり、隣からまた『ガチャリ』と音が聞こえた。


ゆっくりと隣を見れば、

昨日のあいつと目が合った。









「・・・・」


「・・・・」



私達はただただ、黙って歩いている。


制服を着ている所、

彼も夏季講習中なのだろう。



鳴き喚く蝉の声をBGMに、

私達は通学路を歩く。






「なぁ・・・」


歩き始めて三十分弱。


コンビニに差し掛かった時、

いきなり彼から声をかけられた。


私はちらりと、一回彼を見れば、

再び前へ視線を戻し、


「なに?」


と、素っ気なく答えた。



「お前、一之瀬だろ?

一年ん時ゆーめいだった」


「有名かどうかは知らないけど、

それが何か?」


「ふーん、

話に聞いてた通りだな。

ツンツンしたブッスーな女」


「あっそ、誰に聞いたか知らないけど、

あんた程不細工では無いと思うけど?」


「は、負けず嫌いも、

そーとーだな。


そりゃ上から反感買うことだ」


「今は別に、

上の奴らがどうこう言って来ないし、

友達も、兄貴分もいるから別に良い。


ていうか、

なんであんたみたいなストーカーと、

こんな話してんだか・・・」


「だからストーカーはテメェだっつーの」


「なに?また喧嘩しようってか?

受けて立とうじゃないか」


「んだと?

この『まな板女』」


「やろうっての?

この『ミミズ(ピー)野郎』」


「だからお前・・・、

そういうのを外で言うなよ・・・」








その後、昨日みたくではないが、

ギャースカ、ギャースカ、

口喧嘩していたら、

いつの間にか校門まで着いていた。


学校を目にすれば、

私も彼も途端に静かになり、

二人同じく、校門に背を寄りかけた。










「なぁーよー・・・」


「なに・・・?」


校門前にて、待つこと1時間。


漸く気付いたのか、

彼が遠慮がちに口を利いていた。


「一つ質問ヨロシ?」


「アイアイ、ナンデショーカ」


「・・・・・・・、

今日は何日でしたっけ?」


「ソーデスネ、

確か、『15日』だった筈デスガ」


「そうですか、そうですか。

ではもう一つ、

・・・夏季講習は何日と何日でしたっけ?」


「・・・・・・、

10~14、17~20デスネ」



「・・・・・・、

もっかい聞いて良い?」


「ドーゾー」


「今日何日?」


「ジューゴー」


「・・・・」


「・・・・」



「帰ろ・・・」


「私もそうする・・・」






恐らく

昨日のオバサンの説教のおかげだろう、

彼も私も、今日講習がない日だった事を忘れていたのだ。



私達は今来た道を辿り、帰宅している。



私達の間には会話は無く、

彼も私も、

ただ無言でケータイを弄っている。



校門から歩き始めて三十分弱。

先程彼が私に話し掛けてきた、

コンビニ前まで来た。


私は彼と一緒にいるのが嫌なので、

コンビニで雑誌でも呼んで時間を潰そうかと思い、歩を先に進める。


いざ入らんとした時、

私達の目の前で、

不意にコンビニの自動ドアが開き、

『ある人物』が現れた。


その『ある人物』とは、





「あ?一之瀬?

なにやってんだ?こんな所で」



夏季講習の担当先生の一人、

私の兄貴分、山瀬智也先生だった。



「あ、智也センセー・・・。

あー、ちょっと日にち間違えて学校行っちゃって」


私はポリポリと頬を掻く素振りをし、

今さっきの事を伝えて、

『智也センセーこそ、

どうしてここに?』と、

問おうと口を開こうとしたが、

『あいつ』の言葉で、口をあんぐりさせる事になった。



「智兄?

なんで此処にいんの?」



「・・・は?

・・・智兄?」







「いやー、

にしても偶然ってあんだなー」



あの後、

『あいつ』の驚愕の言葉を聞き、

頭が?だらけになった私と、

驚愕の新事実を告げた『あいつ』は、

共に、智也先生の家に連れて来られた。




智也先生の話によると、

どうやら、『あいつ』と智也先生は、

血の繋がった兄弟ではなく、

親戚同士だと言う事が解り、

昔から色々と遊んでいたらしいので、

『あいつ』は智也先生の事を『智兄』、

と呼んでいるそうだ。



で、その『智兄』はリビングのソファーに腰掛けている、

私と『あいつ』のお茶を汲んでいる。



「まさか一之瀬と桐也が隣同士に住んでたなんてなー。

問題児同士、仲良くなってくれよ?」




今更ながらあいつの名前を言っておこう。

彼は片守桐也。

『片守』と書いて『かたかみ』と読むらしい。

桐也は普通に『きりや』。


なんかちょっとカッコイイのがムカつく。



「問題児ってどういう事ですか」


「問題児は問題児だ。

一之瀬、お前は誰彼問わず喧嘩売ってるし、

桐也、お前は授業出ねぇし、


二人共十分問題児だ。

たまにはフォローする俺の身にもなれよ・・・」



『それが教師の役割だろ?』



ご丁寧に説明して、

最終的に自分の話で肩を落とした智也先生に、

私と片守は同じ台詞を発した。









「じゃ、またね、智也センセー」


「またな、智兄」


「おう、

ちゃんと日程は確認しとけよ?」



あの後、しばらく雑談し、

飽きてきた所で、

智也先生がWi〇を取り出して、

色々とゲームで遊んだ。


気が付けば、

夜の6時近くになっていたので、

私と片守は帰る事となった。




智也先生に挨拶をし、同じ帰り道、

私達は二人並んで歩いている。



「・・・」


「・・・」



とーぜん、

私達の間には会話はない。






と、思ったのだが、


いきなり片守が、

不躾にこんな事を聞いてきた。





「お前、友達いるんだってな」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ