気だるい朝
「ん・・・?」
その日の目覚めはいつもとは違った。
まず、目蓋が重い。そしてうまく頭が回らないうえに頭痛がした。さらには少し体がだるい。
起き上がって閉じられていたカーテンを開けるとすでに陽が昇っていた。つまりは寝過ごしたようで、体のだるさは寝すぎによるものだと思い当たる。
そこまで考えて、やっと昨日のことを思い出した。
「わたくし・・・」
いくら夢を見たからといって、酷い失態をおかしたようだ。ツェルリアは思わず自嘲を零した。
「ツェルリア様・・・?」
「シュリ?」
「申し訳ありません。ノックはしたのですけど・・・」
「ごめんなさい。考え事をしていたから」
最近の自分はなにかおかしいとツェルリアは感じていた。少し前までの自分なら寝過ごすなんてことはあり得なかったし、考え事をしていても―――――たとえ眠っていたとしてもノックの音に気づかないはずがなかったのだから。
「陛下が、もしツェルリア様が起きていたなら連れてくるようにと・・・どうなさいますか?」
暗に“まだ眠っていた”ということにしておいてもいい、と言うシュリにツェルリアは首を振る。
「服を準備してくれるかしら」
「わかりました。少しお待ちくださいね」
「えぇ」
警戒心が薄くなっている。それは確実にいまのぬるま湯のような生活の影響だ。
それは幸せなことなのだろうけれど・・・。
喜怒哀楽の感情が混ぜ合わさったような気持ちからツェルリアは目をそらした。