あなたのぬくもりの中で3
至近距離で彼の顔が映る。
月明かりに照らされた横顔が、やけに綺麗に見えた。
バクバクと心臓が鳴り始める。
「やっと、捕まえた」
私の下にいる彼は、愛おしげな眼差しで囁く。
ダリウスは、自分の上に垂れる私の髪に指を絡める。
「リシェル……愛してる」
その一言に、体の芯まで熱くなり、胸の奥から、どうしようもない想いがあふれ出す。
「……私も。ダリウスを、愛してるわ」
私の言葉に、彼は静かに目を細めた。
すると私の腰に手を回し、そっと引き寄せ――唇を塞いだ。
密着して、全身に彼の体温が流れ込む。
「……んっ……」
唇が離れるなり、私は体を引き離すように、彼の横についた腕を伸ばした。
「おい、どこ行くんだよ」
「だって……恥ずかしい……から……」
ベッドの上で、こんなの……絶対よくない。
私の言葉を聞いたダリウスは、深いため息をつく。
「はぁー、ヤバいな……」
何かを堪えるように、低く呟くダリウスは、私の背中に手を回して上半身は引き寄せた。
「きゃっ……!ダ、ダリウス……っ!?」
「……絶対、離さない」
首元で囁かれる。
触れているはずの肌よりも、彼の吐息のほうが熱く感じる。
息が詰まりそうで、まともに考えられない。
ダリウスの手が私の襟元にかかると、くいっと引かれて片側の肩紐が滑り落ちる。
そのまま、素肌に唇が触れた。
「ひゃ……っ!」
くすぐったい。
でもそれ以上に、熱い。
肩先に触れたキスは、さらに落とされ、首筋、鎖骨……胸元へと、じりじり降りていく。
「えっ、待って、ダ、ダリウ……あっ……」
上手く言葉が出ない。
ダリウスの動きはこんなにも優しいのに、決して止まらない。
ダリウスのキスが落とされるたびに、私の身体は震えてしまう。
それだけで恥ずかしくて死んでしまいそうだ。
「や、だめ……こんなの……恥ずかし……っ」
情けない声が、口から漏れてしまう。
なのにダリウスは、少しもやめようとしない。
むしろ、私の反応を楽しむようにも見える。
もう、どうしていいかわからない。
このまま溶けてしまいそうだ。
「可愛い……真っ赤になってる」
彼は私の胸に顔を埋めると、息を吐くように呟いた。
「そんなところで……喋らな、あっ……」
彼は、腰にあった手をお尻側に滑らせた。
「ひゃっ……」
そのせいで、私は思わず背中を反らして、自分の口から変な声を出してしまう。
さっきから、心なしかダリウスの息が荒くなっているような気がする。
けど、それを確かめる余裕なんてなく、私は震える手で彼との間に隙間を作ろうと自分を支えた。
彼のにおいが肺を満たし、彼が囁く声が鼓膜を震わす。
それだけで、私の平常心が壊れていくようだった。
お尻を撫でていた手が、そのまま太ももへ滑り、内ももをなぞった。
その動きに、またもや反射的に背中が跳ねた。
「……待って……これ以上は……んっ……」
止めようとした私の口はすぐに塞がれ、性急に舌が絡み合う。
スカートをまくり上げる手。
熱を帯びた吐息。
理性なんて、とっくに追いつけていない。
「んぅっ……」
足を閉じようとするけど、私は彼にまたがっている状態。どうにもならなかった。




