許されぬ恋のはじまり~中盤~6
「リシェル……」
ダリウスは私の涙を見て、静かに眉を寄せた。
「ずっと……ダリの傍にいたいよ……うっ……」
とめどなく涙が流れてくる。
涙をぬぐっても、ぬぐっても……ぬぐう意味がないほどに溢れてくる。
すると、すっと起き上がった彼が静かに私の手を取り、ギュっと握り締めてくる。
「ダリ……」
そのぬくもりが、苦しい位に私の手のひらに広がっていく。
「何があっても、お前を独りにしたりしない。
俺は……この心臓が止まるまで、お前といたいと思っている」
すると、彼は私の手をそっと自分の胸元へと導いた。
「そのためなら、力の限り努力するつもりだ」
鼓動が、はっきりと感じられる。
彼が、生きてるって感じられる。
「ずっと……一緒にいよう。リシェル」
彼の胸に手を添える自分の手を見てそう思った時、ふと学生の時に友人が話していた、あるおまじないを思い出した。
その瞬間、私は半身を起こした。
「そうだわ」
「どうした?」
「ねぇ、おまじない、知ってる?」
「……まじない?」
「うん。お互いの胸に手を当てて、強く願うの。
自分の想いが、相手の魂に刻まれるように……。そうすれば、来世に生まれ変わっても、また巡り会えるんだって」
「知らないな。ってか、めちゃくちゃ嘘くさいな」
「本当だよ!おまじないって言っても、実際に記憶が戻って再会できた人もいるんだから!」
「ふぅん……でも、生まれ変われる確率って、たしか数%って話だろ?仮に奇跡的に二人とも生まれ変われたとしても、同じ種族に生まれなきゃ会える保証なんて……」
「何よ!ダリは来世でも会いたいとか思わないわけ?」
すねた口調でそう言うと、ダリウスはふっと笑って小さくため息をついた。
「思うよ。お前となら、来世だけじゃなくて……その先も、またその先も一緒にいたい」
その言葉に、顔が一気に熱くなった。
「じゃ、じゃあ……やろうよ」
「分かった。でも、どうやるんだ?」
「こうやって、相手の胸に手を当てて……」
そう言いながら私が再びダリの胸に手をかざすと――
「きゃぁあ~~!どこ触ってるの……っ!?」




