表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【大賞作家】天使と悪魔が交われば、世界が滅ぶ。それでも、1万年越しの愛を貫く。  作者: 花澄そう
許されぬ恋のはじまり~中盤~

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

85/120

許されぬ恋のはじまり~中盤~2

 

「えっ……?何を……おっしゃっているのですか?」

 資料のことで聞きたいことがあるんじゃ……予想外の問いに、胸がドクリと跳ねた。

 手にしていた資料を、ぐっと胸の前で抱きしめる。


「隠さなくていい。君の熱い視線を、俺に隠せるとでも?」


「っ……言っている意味がわかりません」


 嘘っ……。まさかバレてる!?

 ……ううん。

 この質問の仕方。まだ確信には至っていないはず。



「ふぅん……白を切るつもりか。なるほど」

 もう何もかも知っている。そんな風に見える魔王の言動に、私は戸惑いを隠せずにいた。


「申し訳ございません。まだ仕事が残っておりますので、こういったお話なら失礼させていただきます」

 私は逃げるように頭を下げ、扉の方へ向き直ろうとした時、視界の端で魔王が手をかざすのが見えた。




 次の瞬間――


「きゃっ!」

 瞬く間に足元に魔法陣が浮かび上がり、私の身体は強力な力で魔王の胸元に吸い寄せられた。


 手にしていた書類が、突風にあおられたように宙へと舞い上がっている。



 ほんの一瞬の出来事に、目を大きく見開いた。



 さすが魔界の王。

 通常、魔法陣を発動させるのに20秒以上、遅い者だと何分もかかる。

 それを、瞬きほどの速さで発動させるだなんて……



「俺が、逃がすとでも思ったか?」

 そう言いながら、魔王は背後から私の首元に触れた。

 長い爪が首筋にかすかに食い込む。




 まさか私――殺される!?



 完全にバレてるの!?

 でも、だとしたら……なんで!?どこでバレたの!?



 数えきれないほどに落ち合った資料室。

 ダリウスは、いつも周囲に誰もいないことを確認してくれていた。

 彼は魔力を感知する特殊な魔法を使い、事前に誰かが近くにいないかを確かめてくれていた。


 なのに、どうして……



 頭が真っ白になっていく私の肩を掴み、魔王は強引にこちらへと身体を向けさせた。



「奴の能力を頼っていたんだろ?それで自分たちの密会がバレないとでも思ったか?」

 その言葉は、あまりにも図星で、最大限に目を見開いてしまう。


 魔王の瞳が、そんな私の動揺を見透かすように細められる。



「浅はかな奴だ」

 やっぱり……!完全にバレてる!


 私は魔王の言葉に心臓が凍り付き、息が浅くなった。

 全身がガクガクと震えだす。



「君も知っているはずだ。魔力を感知する能力は奴のものだけじゃないということを。極めて少数の悪魔にしか使えないが、他にもいる。

 そいつらの力を使えば、近場であれば誰がどこにいるのか分かる……もう、なんで俺がこんな質問をしたのか……分かるな?」


 魔力を感知する魔法は、使ったその瞬間の状況しか分からない。

 しかも、発動にはかなりの魔力を消費する。


 だから、彼はいつもこう言っていた。

『あれは何度も気軽に使えるもんじゃない。リィと会う直前だけ、みんなの位置を確認してる』



 つまり、私たちが会っている最中に、誰かがその魔法を使っていたら――

 資料室に、『天使と悪魔が二人きりでいる』という事実が簡単にバレてしまう。



 私たちほど頻繁に行動を共にする天使と悪魔はいない。

 そんな二人が頻繁に密室にいたら――当然、怪しまれる。


 術式にはいろんな種類があるし、少しでもおかしいと思われたら簡単に調べられてしまう!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ