許されぬ恋のはじまり~序章~6
唇が重なった。
それは静かで、けど抗いようのないキス。
まるで、彼の体温と秘めた想いが一気に押し寄せてくるようだった。
「……んぅっ……!」
彼の手が私の後頭部に添えられる。
飲み込まれるんじゃないかと不安になるほどの熱いキスに、頭が沸騰しそうになる。
ようやく唇が離れた時、目の前にある彼が囁いた。
「……顔、真っ赤だな」
その余裕のある声に胸が跳ねるけど、その瞳はどこまでも真剣だった。
恥ずかしさに頬へ手を添えた瞬間、
「か、からかわないで……えっ?」
その手を取るように、彼が私の手首を掴んできた。
そして、そのままの勢いで本棚に押しつけられる。
「好きだ。リシェル……」
そして――再び彼は口を塞いできた。
「んっ……!」
唇が重なった瞬間、全身が、グチャグチャにとろけていくような感覚に包まれる。
でも今度は、先ほどの触れるようなキスとは違っていた。
彼の熱い舌が割り入り、彼の熱と想いが遠慮なく押し寄せてくる。
そんなキスだった。
「……んっ……はぁ……」
深く、ふやけるほどに、何度も何度も重ねられる口づけ。
彼の手が私の髪をすくい、頬をなぞり上げる。
指先が耳の後ろをかすめただけで、身体が跳ねた。
「……ん……」
熱くて、甘ったるくて、どうしようもなく苦しいのに……それなのに、離れたくない。
もっと彼を感じていたい。
ようやく唇が離れた頃には息も荒く、身体の芯まで火照っていた。
でも、目の前の彼もまた、同じように見えた。
この時の私達は、まだ世の中を……現実を甘く見ていたんだと思う。
序章はここまでです(^^)/
次は中盤になります。




