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【大賞作家】天使と悪魔が交われば、世界が滅ぶ。それでも、1万年越しの愛を貫く。  作者: 花澄そう
疑いの目

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疑いの目3

 

 今朝、屋上でダリウスの事を疑われ、否定すると『僕はまだ諦めない』と言われた。

 それからというもの、日中は驚くほどに付きまとわれている。


 悪魔も使う特別教室がある棟に向かおうとすれば、『どこへ行くの?』と、さりげなく進路を遮られる。

 たまたま窓の先にいる悪魔の生徒たちの中にダリウスの姿を探そうとしただけで、『何見てるの?』と視線の先を覗かれてしまう。

 そんなことの繰り返しで、今日はとうとう一度もダリウスの姿を見る事さえ出来なかった。



 だから、やっと見れる!会える!と思ったのに……

 どうして……



 やっぱり……

 屋上の時にも感じたけど、ルヴェルはダリウスとの関係を疑っているんだわ。




「どうしたの?そんな顔して」

「えっ……?う、ううん……なんでもない」

「こんな夜遅くに、どこへ行くつもりだったの?」


 その問いに、心臓がドクンと跳ねた。

 ただ見られているだけなのに、心の奥まで見透かされているようで、思わず目を逸らす。



「ち、ちょっと……夜風にあたりたくて……」

「……そう。じゃあ、僕も付き合うよ」


 えっ!?

 頭の上に『失敗』という文字が落ちてきたけど、咄嗟に良い言い訳を考える余裕もなく、気付けば近くなったベンチにルヴェルと並んで腰かけていた。





 なんでーー!?


 自分の行動に、私は思わず頭を抱えた。




 ダリウスが今も私を待っていると思うと、申し訳なさで胸が苦しくなる。

 でも、ここでさっきの言い訳を訂正したら、かえって怪しまれるに決まってる!


 ……ほんの少しだけ。

 そう、少しだけ夜風に当たってから立ち去ろう。それしかない!


 でも……もしそんな時に、ダリウスが『遅い』と思って私を探しに来て、この状況を見られたら……?


 頭の中は最悪の展開でいっぱいになった。

 想像しただけで冷や汗が噴き出てくる。



「あっ、もうセレネアが咲く時期なんだね」

 そう言って、ルヴェルが視線を向けた先に、私も目を向ける。


 すると、夜空に浮かぶ月の光を浴びて、静かに輝く花が咲いていた。



「リシェルは、この、夜にだけ咲くセレネアの花が好きだったよね」

「えっ……?」


 そう。

 セレネアは、私の一番好きな花。


 夜にだけ小さな光を放ちながら咲く、『幻想の夜花』と言われている。


 でも、私がこの花を好きだなんて話、ルヴェルにしたことがあったかな?



 そんな考えに首を傾げると……

「あれ?もしかして、もう、好み変わっちゃった?」


「ううん。でも私、ルヴェルにこの花が好きだって話したことあったかなって?」

 なんだかその話だと、まるでルヴェルと私が元々知り合いだったみたいに聞こえてしまうわ。



「やっぱり、忘れちゃってるんだね」

 月明かりを浴びるルヴェルは、美しいほどに輝く白銀の髪を揺らすと、少し悲し気に目を細めた。



「リシェルとは小さい頃、天界パーティで何度か会ったことがあるんだけど……」

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