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【大賞作家】天使と悪魔が交われば、世界が滅ぶ。それでも、1万年越しの愛を貫く。  作者: 花澄そう
疑いの目

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72/119

疑いの目1

 

 …………


 ……


「昨日、あのあと教室に戻らなかったよね?どこに行ってたの?」

 朝、教室に着くなりルヴェルにそう聞かれた。

 まだ朝の涼しさが残る教室に、緊張が走る。



 あの後はなんだか戻れそうになくて、最後の授業だったし、そのまま早退してしまった。無遅刻無欠席無早退で来ていたのに……


「探したんだ。姿が見えなくて。何人かに聞いたけど、誰も知らなくて……」

「ご、ごめん。医務室に行かないって言うダリウスを説得してて……」

「ふぅん……どこで?」


 疑いの目で私を見つめてくる。


「えっ……えっと……どこだっけ?あ!思い出した、あっちの方だったような……」

 咄嗟とっさに、生徒があまり使わない講師用の建物を指差した。



 すると、突然ルヴェルが私の手を取った。



「少し屋上まで付き合ってくれない?誰もいない場所で、ちゃんと話をしたいんだ」

「え、今……?」


 もうすぐ授業が始まるけど……


「うん。すぐ済むから」



 強引に連れて行かれた屋上。

 風が吹き抜ける無人の場所で、ルヴェルは真剣な顔で私を見つめていた。



 まさか……嘘がバレた?

 問い詰められる……?


 嫌な予感に血の気が引いていく。



「まず、昨日の返事を聞かせてほしい」



 ん?昨日の返事?


 あっ……そうだった。

 昨日……


 昨日の光景が脳裏に鮮明によみがえってくる。


『リシェル。聞いてほしい。僕は……君が好きだ』


 花束を抱え、片膝をついて見上げてきた、あのまっすぐな瞳……




 ルヴェルは、私にはもったいない程に素敵な人。


 いつの日か、天界を導く天帝という立場になるかもしれない、名門クラウディセル家の長男。


 物腰は柔らかく、誰にでも優しく、まさに天使のかがみのような存在。





 でも……私の心は、ダリウスのもの。



 私は目を伏せて、静かに口を開いた。




「……ごめんなさい。私、その気持ちには応えれない……」


「それって、もしかして……ダリウス・ヴァルシオンと付き合ってるから?」



 その名前が出た瞬間、思わず顔を上げた。


 風に揺れる白銀の髪。

 その奥の碧い瞳が、私をまっすぐに見据えていた。



「……えっ……?な、なに言って――」

 私は今、どんな顔をしているんだろうか。


「仲いいよね、最近」

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