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【大賞作家】天使と悪魔が交われば、世界が滅ぶ。それでも、1万年越しの愛を貫く。  作者: 花澄そう
秘密の関係

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秘密の関係5

 その問いに、胸が跳ねた。



 まさか、時々感じていた視線って……私との関係を疑って!?



「だったらなんだよ」

「ダリウスっ……!」

 何で否定しないの!?いくら親族だからって……


 ザハルクは大きくため息をつく。


「やっぱりそうか……」


 えっ……?


「前々から怪しいと思っていたが……本当だったとはな」

 何?この反応。

 思っていたのとあまりにも違う。



「こんな関係がもし誰かに知られたら……どうなるか分かってるのか?」

「分かってる」

 ダリウスの答えは、迷いのない声だった。


「分かってて、この子と……?」

「……ああ」

 ダリウスは私を一瞬見たあと、真っ直ぐにザハルク講師を見返した。



「俺は……リシェルの為なら、世界に背いてもいいと思ってる」


 ダリウス……


 ダリウスの決意にも似た言葉が、私の胸を熱くさせた。


 ザハルク講師は、しばらく私たちを見つめていた。

 そしてふいに顔を覆い、低く小さく呟いた。


「そうか……分かった。リスクを分かったうえで、お前が選んだ道なら――私は否定はしない」


 えぇ!?嘘っ……

 私達を、認めてくれたの?

 天使と、悪魔なのに!?



「でも……絶対にバレるなよ。それだけは約束だ」

「分かった」

 ザハルク講師はそのまま、静かに背を向け、夜の庭に消えていった。



 …………


 ……



「ザハルク講師って、本当はあんな感じだったのね」

「まぁ、そうだな」

 ダリウスが苦笑する。


「人見知りで無愛想、あの鋭い目とでかい体のせいで、誤解されやすいだけなんだ」

「ふふ、意外……。叔父なのに、凄く心配性なのね。まるで、うちのお父様みたい」

「育ての親だから、かもな」


「……えっ?」

「俺、本当は正妻の子じゃないんだ。だから正妻の家系からは、ずっと疎まれてきた」


「……」

 そんな衝撃の発言に、言葉が出なかった。



「母上は、それでも俺を必死に守ってくれていた。

 でも、8歳の時に亡くなって……そこからは、地獄みたいだった」


 視線を落とし、ダリウスは腹部に手を当てた。


「今でもその時の消えない傷が、何箇所か残ってる」

 ダリウスの言葉に、胸が苦しくなった。


「そんな俺を……ある日突然訪ねてきたザハルクが見つけて、保護してくれたんだ。俺がやせ細ってるのを見て、何も言わずに連れて帰ってくれた」


「ザハルク講師が……」

「そう。あの人がいなかったら、今の俺は、ここにいなかったかもしれない」


 ダリウスの目はまっすぐで、どこか遠くを見ているようだった。


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