秘密の関係4
ザハルク講師!?
天使たちから恐れられている、あの威圧感の塊のようなザハルク講師が、ダリウスに抱きついて泣きそうな顔をしていた。
「は、離せ……」
「だって、本当に心配なんだよぉ~」
「だからって、監視なんてやめてくれよ。いくつだと思ってるんだ」
……やばい。
これ、絶対見てはいけないものだわ。
そう思って私は慌てて一歩下がった――その時。
パキッ
自分の足元で高い音が鳴った。
目をむいて足元を見ると、自分の足元には真っ二つに折れた枝。
その瞬間、心の中で大きな悲鳴を上げる。
恐る恐る顔を上げると、二人の視線がばっちり私に向けられていた。
「あっ……、す、すみません……盗み聞きするつもりじゃ……」
そう口にした瞬間、ザハルク講師の表情がガラリと変わった。
背筋をピシッと伸ばし、顔を険しく引き締める。
それは、いつものザハルク講師の姿だった。
「おい、小娘。お前どういうつもりだ?」
鋭い目をギラリと光らせ、指を突きつけてくるザハルクに、思わず身がすくむ。
さっきまで、幻覚でも見てたんじゃないかと思うほどの迫力を感じる。
すると、すぐにダリウスがザハルクの手を払いのける。
「指差すな」
そんなダリウスに悲しい顔を見せるザハルク講師。
「ダリウスゥ~。怒らないでよっ。その目怖いっ」
なにこれ……ギャップがすごすぎる……
目の前で起こっている事態についていけず、私は呆然としていた。
ザハルク講師はハンカチを噛みながら言う。
「だって……ダリウスが危険な橋を渡っているんじゃないかって、叔父さんは心配で……」
えっ……!?
「お、叔父!?」
ザハルク講師は、ダリウスの叔父さん!?
驚いて目を見開くと、ダリウスが言う。
「あれ?言ってなかったか?」
「うん、聞いてないよ」
ザハルク講師は、そんなやり取りをする私たちを見据えたまま、静かに口を開いた。
「お前たち……やはり付き合ってるのか?」




