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「でも?何が言いたい。はっきり言いなさい」


「私は……、辞退したくありません!」

 意を決して言うと、お父様は一瞬、目を見開いた。

 そしてすぐに険しい顔になり、低い声で言った。


「どうしてだ。悪魔も通う学校になるのだぞ!?」

「それは分かっています!でも私の夢……天帝セラフィエル様の補佐になる為には、あの学院を出ないとなりません!」


 私の将来の夢は、天帝セラフィエル様の補佐。


 それは、半ば決められた道筋だった。

 けど、ある日、天帝セラフィエル様の姿を目にした時……


 誰にでもご慈悲を与えるその優しさ。

 堂々とした佇まいに滲む、神々しい威厳。

 その姿に心を打たれ、私は決意した。


『この方の支えになりたい』と。




 それに、天界の貴族である私は、あの学院を出なければ家の名に傷がつく事になるかもしれない。


 お父様だって、私があの学校を出ないと困るはずだ。



「あと、あそこでしか学べない事が沢山あります。天界で最も優れた天使たちが学ぶ場所ですもの」

「だが……」


「だからお願いします。お父様!私をあの学校に行かせてください!」

 必死に訴えると、お父様は眉をひそめて頭に手を当てた。

 静かな間が落ちる。


 そして、諦めたような目で、じっと私を見つめた。



「……はぁ……本当に、お前には敵わんな……」

 お父様は額に手を置くと、嘆くように呟く。

 そして、再び口を開いた。


「……分かった」

「お父様……!」

 その言葉に胸が弾んだ。でも、喜びも束の間――


「ただし!」

 鋭い声に、思わず息を呑んだ。

「少しでも危険なきざしがあったら、すぐにでも学院を辞めて戻ってくるんだぞ!」


 お父様の目は厳しく、けれどその奥には揺るがぬ愛情が滲んでいた。



「学院が悪魔と共学になった以上、何が起こるかわからん!

 もし何かあればすぐに学院に報告し、退学の準備をするんだ。いいな?」



「え……ええ、約束するわ!」


 って言ってみたけど……本当に大丈夫?


 私は、無事にあの学院を卒業できるのかしら……?




 私の人生を大きく変える出会いが、すぐそこまで迫っている事を、この時の私はまだ知らない――

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