表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【大賞作家】天使と悪魔が交われば、世界が滅ぶ。それでも、1万年越しの愛を貫く。  作者: 花澄そう
秘密の関係

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

59/120

秘密の関係1

 

 私達は、恋人となった。

 天使と悪魔なのに。


 もちろんそんなことは誰にも言っていないし、この先言う相手も居ないだろう。

 万が一バレたとしたら、家紋に傷がつくどころでは済まないから。


 絶対に誰にもバレてはいけない!

 それどころか、怪しまれることさえ許されない!



 そんな思いを胸に、私は静かに学校の階段を上がっていく。

 ちょうど階段の踊り場に差し掛かった時、上から聞き慣れた声がした。

 見上げると、悪魔の生徒と話しながら階段を降りてくるダリウスの姿が目に入った。


「あっ……」

 思わずそんな声が出る。


 すると、彼がこちらに気づき、片手を軽く上げた。

「おはよ」


 ドキっとした私は、小さく「おはよう……」と目を伏せて返す。



 天使と悪魔の教室が分けられてからというもの、日中にダリウスと会える機会はめっきり減った。

 だから、こうして偶然に会えるだけで、内心喜ばずにはいられない。


 ……でも、それを絶対に表に出してはいけない。

 他の生徒の目だってあるんだから。



 そう思いながらも、さりげなく視線を送る。

 なのに、昨夜ぶりのダリウスの姿に、ついつい釘付けになってしまう。



 すると……ダリウスがすれ違いざまに私の指先をそっとなぞった。



「……っ!」


 目を見開いた瞬間、耳元に甘く低い声が落ちてくる。



「見すぎ」


 ドキッとした私は、とっさに耳元を押さえた。



 慌てて振り返ると、ポケットに手を突っ込んだままのダリウスが振り返った。


 赤い瞳が私を捉えると、ふっと口角を上げる。

 そしてその唇が、声を出さずにゆっくりと動いた。



 ま・た・よ・る・な。


『また、夜な……』

 と、そう言われた気がして、私は思わず胸を押さえた。



 そのまま何事もなかったように去っていく彼の背中を見つめながら「なんなのよ、もう……!」と呟く。


 あんなに接近したら、怪しまれるでしょ!?

 私達の関係は、絶対にバレちゃいけないのに……っ!



 そんな風に心の中で叫ぶけれど、小さな悪戯いたずらに、どうしようもなく胸が高鳴ってしまう。


 彼への想いを認めただけで、私の頭の中は、不思議なくらいに彼の事でいっぱいになっている。



 ――ほんの一瞬の出来事だったのに。

 あの手の温もりも、耳元に残る甘い声でさえも、焼きついたように離れなかった。





 夜――


 いつもの寮の庭の陰で、私たちは落ち合った。


「もう!ダリウス、ああいうのやめてよ!バレたらどうするのよ!」

 昼間、すれ違いざまに私の指先をなぞったダリウス。

 あの時の接近を思い出すだけで、また冷や汗が噴き出てきそうだ。


 必死な私に、ダリウスはククッで笑った。



「あれくらい、大丈夫だろ」

「何を根拠に……」


 口を尖らせると、「そんな事より……」とささやいたダリウスが、突然私の腰に手をまわして来た。


 ドキっとした瞬間、ダリウスは、グッと自分の方に抱き寄せた。



「きゃっ!」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ