嫌なら、殴ってでも止めろ6
理性的な言葉を口にしようとした瞬間、胸がぎゅっと締めつけられ、喉で言葉がひっかかった。
言わなきゃいけない言葉は、何度押し出そうとしても出て来てはくれない。
代わりに溢れてきたのは、ずっと押し込めていた『想い』の方だった。
こんなにも彼が愛しくて、こんなにも傍にいたい。
――好き。
けど、こんな気持ちを口にしてしまったら……
世界の禁忌の一歩を踏み出すことになる。
そんなの……絶対駄目に決まってる。
でも……
それでも……
私は静かに目を閉じた。
そして決心を胸に、そっと瞼を上げた。
「……私も、あなたが好き」
小さな声で囁くと、彼の目が一瞬、大きく見開かれた。
「……本当か?」
「うん……」
すると次の瞬間、彼の腕が力強く私を引き寄せた。
「きゃっ!」
突然浮いた足がバタつく。
ゆっくりと降ろされると、微笑むダリウスの顔が目に飛び込んで来る。
それだけで心臓が早くなる。
「よかった……」
見つめてくる赤いルビーのような瞳に映る私は、まるで恋に落ちた少女みたいに見えた。
彼の手が頬に触れた。
「ダリウス……?」
その手のひらは熱を帯びていいた。
熱い眼差しに、言葉も呼吸も、すべてが飲み込まれていくような感覚。
「……好きだ。リシェル」
低く掠れた声が耳をかすめて、じわっと胸を奥に何かが広がる。
彼の顔が、角度を変えながらゆっくりと近づいてくる。
気づけば視界は、彼だけで埋め尽くされていた。
私は、自然と瞼を閉じていく。
すると――そっと触れるだけの優しい口づけが落ちた。
まるで、確かめるような優しいキスだった。
「私も……好きだよ」
…………
……
この章はここまでになります(^^)/
次からは、ドキドキの『秘密の関係』です。




