忍び寄る影6
訳が分からない。
でも、釣られて私まで赤くなってしまう事の方が、もっと……
なにはともあれ、こうやって心配してくれる事。
危険かもしれないのに協力してくれるという事、そして……ダリウスの存在そのものに、とても救われた気がした。
「……ありがとう」
私は恥ずかしさと、言葉にできない複雑な気持ちを胸に、目を逸らして言った。
すると、ふっと微かに笑うような声が落ちてくる。
「……お前って、本当変なやつだな」
「だ、誰が……っ!!」
ムッとして目を向けると、ダリウスは口元を緩め、どこか楽しそうに私を見下ろしていた。
ああもう、なんなのよ!
無駄に綺麗な顔なのがまた腹立つ!
なのに……心の奥がむずがゆい。
なんなの?これは……
戸惑っていると、ダリウスはポンと私の頭に手を置いた。
「っ!?」
驚いてそのまま固まる私を見て、ダリウスはわずかに目を細める。
「……ほら、さっさと寮に戻るぞ」
それだけ言うと、ダリウスはすっと手を離し立ち上がる。
私は呆気にとられたまま、書庫の出口に進むその背中を見つめていた。
――なに、今の……
自分でもわからない。
けど、頭に手を置かれただけで……心臓が酷くうるさい。
さっき手を置かれた自分の頭に、そっと手を添える。
「……なによ……」
小さく呟いた途端、火照っていたはずの頬が、さらに熱を増していくのを感じた。
……私はこの時、まだ知らなかった。
安心して息を吐いた、そのすぐ隣で――
彼が、静かに『禁を破る決意』をしていたことを。
…………
……
忍び寄る影、はここまでになります(^^)/
次はダリウスって何者!?です(^^♪




