真実への追及3
「お父様の言う事はもっともですし、理解もできます。ですが……」
私は自分を奮い立たせるように、手のひらをギュっと握りしめて続けた。
「私の夢は、お父様もご存じの通り天帝補佐です。天帝補佐になるには、あそこを卒業するしか道はないと言われています。
それに、あそこでしか学べない事が沢山あります。だから、もし退学してしまったら……」
「それは、身の安全があっての事だ。フローレンス家は代々天帝に仕えてきている。お前にもそうして欲しいと願っていた。……だが、この状況だ。勉学に励みたいのなら、天界一の家庭教師をつけてやる」
「アルカディア学院は、天界一の学校。貴族天使や上級天使、それにとても優秀な天使がたくさん集まっています。その者たちとの繋がりは他の学校では比にならない程に質の高いものじゃないでしょうか」
「そうかもしれないが……」
「共存共栄の第一歩目としてアルカディア学院の共学。そして……第二歩目として、天使と悪魔が行き来できるような物流所を作るんですよね」
「ああ、詳しいな」
「だって、アルカディア学院ですもの。そういう情報もどこよりもいち早く入って来ます」
そう言うと、お父様は難しい顔をする。
「今後、共存共栄として悪魔は天界にどんどん足を踏み入れてくるはずです。
なら、他の学校に行っても一時しのぎじゃないでしょうか?」
お父様は、私の言葉に悩まし気に頭を触る。
「退学ならいつでも出来ます。だから、もう少し様子を見ても遅くないと思うんです。
それにお父様も、やり始めた事は続ける事が大事だと、幼い頃から教えてくれていたではないですか?」
私は軽く笑顔を向ける。
「うっ……」
眉間にしわを寄せたお父様を見て、胸元に手を置いて口を開ける。
「お父様はもう少し私を信じてください。私はもう子供じゃありません!」
「……そうだな。リシェルも、もう立派に自分の意見を言えるようになったんだな……」
お父様は観念したようにため息をついて続ける。
「あと少しだけだぞ。それ以上は許さん」
その言葉に、私は目の前がパッと明るくなった。
「お、お父様!」
思わず目を輝かせた、その時――




