SNSが「ブロック」や「鍵垢化機能」を持つ理由。神の視座で見た収益構造。
はじめに、「あらゆる物事が勾配と分布のある無境界に存在している」という視座を「神の視座」と呼称します。
「神の視座」は、俯瞰的であらゆる境界を超えた視座です。
神の視座において、人間ぼくらは条件に応じて右往左往し動的に分布を構築する一要素に過ぎません。
では本題。
神の視座で見るとSNSは生命に似ています。
SNSは、炎上という散逸構造を利用して(ニュース化されるなどして)ユーザーの流入を促すところから始まり、レコメンドアルゴリズムによって同じ価値観の分布を作り、さらに普段は同じ価値観同士を接触させエントロピー勾配を高め、トレンドによって複数の分布を急激に混ぜて意見の爆発的な衝突、つまり炎上を起こし、やがて中心人物の鍵垢化やブロック機能などによって平衡に戻る、ということを繰り返しています。
いわば、生命のように開放系の持続可能な収益モデルになっています。
ブロックや鍵垢化・運営が行うシャドウバンは異常に肥大化した細胞を取り除くアポトーシスのような役割を担っていて、収益を上げるうえで重要な役目を果たしています。
ブロックや鍵垢化・運営が行うシャドウバンによって、炎上が平衡に至ると「周期性」が生まれ、「定期的に広告を流す」かのように耳目を集め、継続的に新たな人が入ってくるという開かれた収益モデルが確立しているのです。
ちなみに、レコメンドアルゴリズムによるエコーチェンバーは、同じ意見同士を繰り返し接触させることでエントロピー勾配を高め、トレンドによって他の価値観と接触したときに爆発的な炎上を起こさせる、つまり、火種を蓄えるような役割があります。
Xを買い取ったイーロン・マスクがまっさきにレコメンドアルゴリズムに手を入れた理由の一つがここにあります。
トレンドも単なる人気度でなく、「多様な意見を呼ぶもの」があえて表示されているかもしれません。つまり計画されているかもしれません。
SNSの運営は当然ながら営利企業であり、収益を最大化することが大前提としてあります。そのため、アルゴリズムの調整やコンテンツの拡散の仕方も、利益に直結するような設計がされていると考えることが合目的的です。
具体的には、運営は「ユーザーの滞在時間の最大化すること」を目標としてアルゴリズムを調整しています。そのほうが広告が多く(長い時間)表示されるからです。
一応断っておくと抽象的なシステムの力学の話をしています。イーロン・マスクを支持するしないというような二元論的な話はしていません。
個人的な意見を言えば、ぼくは炎上を扇動するシステムは倫理的に問題があると思っているので、あえて相手の「手の内」を公開している、ということです。
ちなみに扇動か否かは単にぼくの意見なのだけれど、構造としては実際すでにそうなっているので、ただ流されずみんなに一考を促したいと思って書いています。
「なろう」もそうですよ。
※因果ループの成立が伝わりづらかったので、「運営が行うシャドウバン」という文言を追加しました。
アナロジーではなく、システムダイナミクス上の生命モデルとして書いてます。