水ダンジョン 第二層〜第三層
今日からダンジョン攻略をしてゆく。
スキルによる攻略への障害が無くなった今、俺は自由にダンジョンへ潜ることができる。
12年分を取り返さないと。
最初は水ダンジョンの第二層。
そこは、沼地や水たまりが多くて足を取られない様に注意しなければならない場所。
幸い、3人とも足装備は『悪路走破』が付いているので心配はない。
なんて優れ物の装備品だ。
ハンターズギルド様々だ。
さて、第二層の敵はウォーターゴブリンだ。
水鉄砲という魔法を放ってくる以外はノーマルのゴブリンと変わらない行動パターンである。
水鉄砲も勢いだけで、体勢を崩す程度の魔法だ。
それじゃあ、魔法、撃ち方はじめ。
「火炎」
桃花が火魔法を発動する。
呟くと瞬時に炎が出てきて、目にも止まらぬ速度でゴブリンの顔面を撃ち抜いた。
ゴブリン6体に対して6発の発動である。
ゴブリン達は燃え盛り、のたうち回る。
こちらに攻撃は来ない。
「うりゃ!」
水溜りで鎮火する前に、俺は剣でゴブリンにトドメを刺して行く。ブスリ。ぶすり。ザシュ。
ゴブリンが六体居ても全然平気だ。
「私、要らない子?」
「お姉はダメコン要員」
「桜花さんは数が多い時にね」
それに、ほとんど武器で戦っている。
ダンジョンレベル適正より下だが、これくらい良い装備とスキルがあれば、俺たちの低レベルでも攻略は容易い。
「せりゃっ!」
「炎弾!」
「ギギッ!」
「ガギギ!」
ゴブリンの攻撃手段は投石や石斧での攻撃、水鉄砲という魔法攻撃がある。最も危険度が少ないのが水鉄砲であり、石斧は危険度が高い。
しかし、接近前に桃花の火魔法にやられて、ゴブリン達が攻撃モーションに移れないのが現状だ。
「グピャァー!」
余裕綽綽なので、昨日レベルアップで変化したステータスを確認しよう。
なお、装備品による加算は印を付けることができた。スキルの欄から操作することで、カスタマイズできることを発見した。スキルの加算は+表記だけにした。
ーーー
【トウヤ ツカサ】
【Lv3←Lv2】
【スキル:鑑定ⅩⅩⅩ・アイテムボックスⅩⅩⅩ・幸運ⅩⅩⅩ・直感Ⅶ・物理攻撃補正ⅩⅩⅩ、魔法防御補正ⅩⅩⅩ、生活魔法Ⅰ、パティー編成Ⅰ、スライム特効ⅩⅩⅩⅡ】
【ステータス】
体力:68←49
魔力:26←18
物理攻撃:26←18(+16)(装+40)
魔法攻撃:26←18(装+100)
物理防御:67←49(装+540)
魔法防御:26←18(+16)(装+400)
器用:25←18
回復効率:66←49
俊敏:26←18(装+110)
幸運:13←11(+120)
【イトウ オウカ】
【Lv2】
【物理防御補正ⅩⅩⅩ、魔法防御補正ⅩⅩⅩ、治癒魔法ⅩⅩⅩ、魔力補正Ⅰ、スライム特効ⅩⅩⅩⅠ】
【ステータス】
体力:47←30
魔力:18←10(+1)
物理攻撃:18←10(装+3)
魔法攻撃:18←10
物理防御:47←30(+28)(装+70)
魔法防御:18←10(+11)(装+100)
器用:18←10
回復効率:49←30(+29)
俊敏:18←10(装+10)
幸運:11←10
【イトウ トウカ】
【Lv2】
【魔法攻撃補正ⅩⅩⅩ、魔法防御補正ⅩⅩⅩ、火魔法ⅩⅩⅩ、魔力補正Ⅰ、スライム特効ⅩⅩⅩⅠ】
【ステータス】
体力:49←30
魔力:18←10(+1)(装+30)
物理攻撃:18←10(装+50)
魔法攻撃:20←10(+12)
物理防御:49←30
魔法防御:18←10(+11)(装+100)
器用:18←10
回復効率:40←30
俊敏:18←10
幸運:13←10
ーーー
俺の装備が強すぎてびっくりする。
俺の装備は五年前に貰ったもので、剣以外は一度も使ってなかった。魔法の水筒の依頼だったのは確かだ。
剣は技術になればと思って使っていただけなのに、なんというこの強さ加減。
ハンターになった当初にこの装備を知ったら勇んで深くに潜りに行っただろう。
まあ、レベルアップしないから頭打ちになって帰って来たのかもしれない。装備品のレベルを見るに死にはしないだろうから。
しかし、大丈夫か?
地龍の防具は桁違いだし。
あ、スキルの詳細を見ていなかったな。
断じて現実逃避ではない。
【アイテムボックスⅩⅩⅩ】
『亜空間に物を収納できる。生物は不可能。時間停止機能は無い』
【物理攻撃補正ⅩⅩⅩ】
『物理攻撃値に0.6倍の補正値を加算』
【物理防御補正ⅩⅩⅩ】
『物理防御値に0.6倍の補正値を加算』
【魔法攻撃補正ⅩⅩⅩ】
『魔法攻撃値に0.6倍の補正値を加算』
【魔法防御補正ⅩⅩⅩ】
『魔法攻撃値に0.6倍の補正値を加算』
【治癒魔法ⅩⅩⅩ】
『最上級の治癒魔法が使用できる。回復効率値に0.6倍の補正値を加算』
【火魔法ⅩⅩⅩ】
『最上級の火魔法が使用できる』
【魔力補正Ⅰ】
『魔法攻撃値に0.02倍の補正値を加算』
これも見事に有用なスキルだ。
ステータス補正系は強くなる度に補正値が増えるし、他のも重宝するスキルばかりだ。0.6倍は伊達じゃない。
「あ、レベルアップした」
【トウヤ ツカサ】
【Lv4←Lv3】
【追加スキル:剣技Ⅰ】
【ステータス】
体力:86←68
魔力:34←26
物理攻撃:34←26
魔法攻撃:34←26
物理防御:85←67
魔法防御:34←26
器用:32←25
回復効率:81←66
俊敏:35←26
幸運:16←13
【イトウ オウカ】
【Lv3←Lv2】
【追加スキル:魔力補正Ⅱ】
【ステータス】
体力:64←47
魔力:26←18
物理攻撃:26←18
魔法攻撃:26←18
物理防御:64←47
魔法防御:26←18
器用:26←18
回復効率:68←49
俊敏:26←18
幸運:11←11
【イトウ トウカ】
【Lv3←Lv2】
【追加スキル:魔力補正Ⅱ】
【ステータス】
体力:68←49
魔力:26←18
物理攻撃:24←18
魔法攻撃:31←20
物理防御:68←49
魔法防御:26←18
器用:26←18
回復効率:30←40
俊敏:24←18
幸運:15←13
ーーー
レベルアップに伴う上昇値が抜群に良い。
ネットなどの情報を見る限り、最大値を引いている。
スライムを倒してレベルアップをしても良かったんだが、身体が慣れない状態になるのは間違いないと考えた。
今でも64倍の経験値を積むことができる計算だ。
レベルアップが多すぎると、身体に違和感が出ることは間違いない。
俺の装備品は俊敏値に110ポイント追加されている。
第一層で慣れさせなかったらヤバかった。
「ぎぎー!」
「ぎ!」
ん?
ゴブリンの数が多いぞ?
包囲される前に一点突破を図るか?
「トウヤ! お姉! 数が!」
「ツカサさん! 桃花も一旦集まる?!」
「……明らかに多いな。二人とも! 囲まれたら大変だからあっちの方向に逃げて引きつけよう。 あっちが数は少ないみたいだ! 踏ん張れよ!」
「「はい!」」
転進だ。
またメイちゃんが活躍するな。
ヒーラーなのにステータスの伸びが良いから敵をボコボコにできる。
「桜花。魔力は残っているか?」
「レベルアップで全回復してると思う」
なるほど。
そういう恩恵もあるのか。
「よし。じゃあ、ゴブリン固まった時に範囲魔法みたいなのを放てるか?」
「できる」
頼もしい。
でも、この数を倒したらレベルアップが多くて、結果的には同じことになるのかもしれない。
いや、低レベル帯でゴブリンに当たることが肝心か。
考えてもどうにもならない。
ゴブリンの数が異常だ。
「よし、範囲魔法だ!」
「走りながら?!」
あれ?
走りながらでは無理なのか。
「一旦止まるぞ!」
「ええ?! 今?!」
「私は大丈夫。 焼き尽くせ」
視界が赤に染まった。
近過ぎたゴブリンが突撃してくる。
「えい! えい!」
桃花は魔法を発動し続けているので、俺たちが護らないと。
「ぎゃぼー!」
「あべし!」
しかし、凄まじい勢いでレベルが上がってゆく。
これは、すぐに第三層へ行けそうだ。
「メイちゃん、大活躍です」
桜花がにこやかにメイスを払う。
人型の魔物に一切の抵抗が無い。
そして動きに無駄が無い。
「一種の才能」
そう言って桃花が引いている。
桃花の方が討伐数が多いんだけどね。
「桃花。魔法って強すぎるな」
「ん。魔法ハンターは取り合い」
「ヒ、ヒーラーも取り合いなのですが、出番がありません」
「下に行こう。桜花も出番が来るさ」
「はい!」
ドロップ品を回収して探索を続ける。
魔石ばかりで収穫は無い。
普通はこれくらいのドロップ率なんだよ。
スライム特効が異常なだけだ。
◇
特に宝箱が出る訳でもなく、レアドロップが出る訳でもなく、第三層への階段を発見した。
足装備の『悪路走破』様々だ。
レベルは7に上がっている。
第三層はウォータラビットだ。
相手も悪路走破を持っているが、それ以外は普通のホーンラビットだとネット情報には書いてあった。
「ちょっと戦ったら撤収しようか」
「ちょっとだけ?」
「桃花、帰る時間考えてる?」
「あ」
桃花が可愛い表情をしている。
桜花がジト目で見てくる。こっちも良い。
「じゃあ、ウォータラビットを討伐したら撤収ね」
「ん。魔法が火を吹く」
「よし、突撃だ!」
100匹を超えるゴブリンとウォータラビットに爆炎が轟いた。
熟練度が上がってやがる。