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現代ダンジョンでスライム特効のLv1ハンターは12年目で覚醒する  作者: 金剛愛宕
第二章 伊予西条 石鎚山ダンジョン攻略 前編
17/25

石鎚山ダンジョン攻略 第二十層とボーナス階層

 

「ダンジョン攻略生配信!」

「ん。()うご期待」

「いや、始まるんだよ?」


 また桃花が面白がって可笑しなことを言っている。

 配信に関しては、昨日に皆から許可をとった。


「メインパーソナリティーは姉の桜花と」

「妹の桃花でお送りする。耳をかっぽじって良くきけ」

「そんな風に育てた覚えはありません」

「お姉に言われる筋合いは無い」

「なにおー!」


 元気な迷司会だな。

 賑やかで悪くない。

 六槍さんも苦笑している。


[おはよー]

[おひさー]

[いつも唐突な配信、お疲れ様です]

[耳の穴全開です]


 確かに、よくリスナーは付いてきてくれている。

 まだ朝の8時だよ。


「忘れ物は無いか?」


 他のメンバーは準備中だ。

 コンテナハウスは既にアイテムボックスの中だ。


「さて、今からボス戦です」

「かっ飛ばしてやんよ」


 桃花のキャラが良い感じに壊れているな。

 面白いから良いか?


「じゃあ、仲間を紹介する。愛ちゃん先輩」

「こちらは、莞ちゃん先輩です」

「えっと、よろしく?」

「以後、お見知りおきを…」


 松山愛歌(あいか)と高松莞那(かんな)が紹介される。

 愛ちゃんはオドオドしているが、莞ちゃんは通常運行だな。


[新メンバーだ]

[何故、可愛い女の子ばかり]

[かわいー]


 中には嫉妬に駆られている発言もあるな。

 その気持ちは分かる。


「そして、マスコットキャラクターの鍛治茉莉花(かじまりか)大先輩です」

「桜花ちゃん。大先輩はやめよーね♡ マジで」


 桜花の天然が発揮されていて、茉莉花は普段の調子が出ていないみたいだ。

 でも、マスコットは良いのか?


「みんなのアイドル♡ 鍛治(かじ)茉莉花(まりか)ですぅ〜。よろしくぅ〜☆」

「年齢は28歳」

「桃花も年齢のとこゆーな! おこだぞぉー!」


 桃花は地雷を踏みに行くな。

 でも、これは重要な情報なんだ。


[28でそれは痛い]

[なんちゅー濃いキャラ引っ張ってきたんや?!]

[えぐい。キャラがえぐい]


 皆もそう思うか。

 少し安心した。


「一緒にレベリングしていますが、今は置物です」

「そーだぞー! きゅるるーん♡」


[目が! 目がー!]

[目に滲みる]

「目が痛すぎるぞー!]

 

「痛いって言うなよぉ〜! はーと♡」


 手でハートを作る動作を28歳がしているんだ。

 火に油を注いでリスナー達が喜んでいる。


「あとの二人は画面の端に映りますが、積極的には出ませんので。名前も非公開とさせていただきます」

「ん。準備できたみたい」

「では、行きたいと思います」


 ボス戦だ。

 石鎚山ダンジョンの第二十層は巨大銀ゴーレムだ。

 第十五層の巨大銅ゴーレムと討伐方法は同じだ。


[でか]

[特撮みたい]

[大銀ゴレだ!]


 俺はアイテムボックスから魔鉄の大楯を取り出し、この時限りのタンク役になる。

 大楯の適性はあまり高くないのか、俺が装備したら両手装備になっている。

 相手が一体だから出来る技だ。


 ズドン!


[迫力やべえ]

[日本最弱さん、よく耐えてる]

[え? これで日本最弱なの?]

[元だな。今や影も形も無い]


 巨大銀ゴーレムは俺に対して殴りにかかる。

 物理防御は盾を含めて4000を超える。

 ステータスの伸びの良さが、こんな芸当を許している。


「インパクト!」


 背後に居る桃花が魔法を放っている。

 ノックバック効果の魔法か。


「エクスプロージョン!」


 最大火力の魔法が投下された。

 巨大銀ゴーレムは倒れ込んだ。


「今だ!」

「ん。攻勢」


 みんな最大火力で攻撃を開始する。

 俺も盾をアイテムボックスに回収して剣を持つ。

 丁度、配信の画角からも外れてたからね。


[炎系特化の魔法使いに、光系の魔法使いが2人]

[めっちゃ豪華なパーティやな]

[豪勢な攻勢。大勢の光線]

[寒]

 

 俺も六槍さんの後に続いて近接戦闘だ。

 剣術スキルを叩き込んだ。

 13撃もぶちこんでやった。


 そろそろ起きるな。

 後退して反撃に備えよう。


[合図無しで皆んな下がった]

[統率が取れてるな]

[早くない?]

[いや、良いタイミングだ]


 直感スキル通りだ。

 皆が俺の大楯の背後に身を隠す。


 土魔法の範囲攻撃だ。

 無数の(つぶて)がマシンガンの様に飛んでくる。


[すごい礫。これでは動けない]

[タヒのつぶて]

[なしの礫ってか]

[誰が上手いこと言えって言ったんや]


 魔法防御力は盾を含めて2400だ。

 物理攻撃に比べたら低いかもしれないが、巨大銀ゴーレムも魔法攻撃力はそこまで高く無いみたい。


「これは、きょーれつ」

「出たら蜂の巣だね⭐︎」


 流石にこの勢いでは、桃花も火魔法を使えずに居る。

 茉莉花は楽しそうだ。

 度胸あるな。精神的に強いだけのことはある。

 礫が止んだ。


「ん。インパクト。エクスプロージョン」

「攻勢に転じる!」

「いくぞー!」


 ノックバックからのダウンで再度の攻勢に出る。

 今度は起き上がることなく消えてった。


「ぶい」


 桃花のVサインが決まった。

 生配信のリスナーからも拍手喝采だ。


[魔法職3人ならこれくらいか]

[先週と全然違う]

[前よりかなり強くなってるね]

[マリちゃんが本当に置物だった]


 なんなら、先月までLv1だったんだ。

 大器晩成と特効スキルに苦しめられたけど、今では反動とばかりに恩恵を受けている。

 また立ち止まっちゃった所なんだけどね。


[マリちゃん、話聴く限り良い子]

[めっちゃ相手してくれる。良い子]

[マリ様可愛い。でも痛い]


 茉莉花への好感度が上がってるな。

 確かに攻撃中に配信の対応できるのが彼女しか居ない。


「魔石と銀のインゴットが出ました」

「特にめぼしい物は無いか。次の階層に行きましょう」


 総じて10分かからないボス戦だった。

 魔力の消費は大きかったな。

 次は温存しないと。



 ◇



 次の階層は二十一階層。

 平原コースでオーガが出る筈だった。

 でも、霧の世界に突入したのだ。


[これは?]

[なんと! ボーナス階層!]

[え? 映像初?]

[いや、世界2例目だ]


 なんだ?

 配信の方が騒がしいぞ?

 確かに、確かに視界が良くないが…


[正確には、世界7例目。映像に映るのは世界で2例目だ。でも、生配信は世界初な気がする]

[超激レア映像じゃん]

[歴史的な瞬間に立ち会っている]


 いや、そんな大袈裟な。

 そう思っていると、霧が晴れた。


 神殿だ。

 古代ギリシャとかの神殿だ。

 ここに何かあるの?


[日本最弱さん知らないの?]

[超レアなアイテムが入った宝箱があるんだ]

[宝箱が11個だよ]

[どんなアイテムが出るのかな]


 なるほど。

 こういうのは、直感スキルで探せば早い。


 いや、神殿のところにあるだけか。

 単純だった。


「よし、こっちだ」


 返事が無い。

 みんな、景色に見惚れてて付いてこなかった。

 いくよ?



 ◇



 神殿には金ピカの宝箱が鎮座していた。

 神々しい輝きは、宝箱一つで芸術的価値があると感じる。

 開けたら消えるんだけども。


「ん。あけていくのはトウヤ」

「幸運値が高いですからね」


 ということで、俺が開けていくことになった。


【高等錬金術セット】

『錬金術スキルを行使するのに最適な道具セット』

『適正価格:69億円』


【超高等ポーション作成セット】

『ポーション作成スキルを行使するのに最適な道具セット』

『適正価格:算定不能』


【高等魔道具作成セット】

『魔道具作成スキルを行使するのに最適な道具セット』

『適正価格:85億円』


【高等鍛治セット】

『鍛治スキルを行使するのに最適な道具セット』

『適正価格:79億円』


[ポーションやば]

[これ、どれくらい凄いんだ?]

[初級、中級、上級、高等、特級、超高等の順らしい]

[ポーション作成だけ頭が飛び出てる]

 

 全部、値段のケタが違う。

 一つだけ最高位だし。

 これは将来、使える人が現れた時用だな。


【アウール魔法絹の黒ニット】

『悪魔大元帥である灼眼のアウールから抜いた毛と、天界で作られた魔法絹と、ミスリル銀系で編み込まれた、世界に一つだけの黒ニット』

『環境調整』『物理防御力+100』『魔法防御力+1000』『俊敏+100』『回復効率+100』『幸運+40』

『適正価格:算定不能』


[えぐ]

[これは世に出回らない奴だね]

[悪魔から毛を泣くとか正気の沙汰じゃない]

[近づく前に消し炭だよ]


 情報を公開しちゃったけど、大丈夫かな?

 まあ、ここがレア宝箱の部屋って事は知られているんだし、誤差の範囲内かな。


[性能とか、全部桁が多い]

[装備一つで補正値1000超とか、頭おかしい]

[准国宝級]


 そんなにレアなんだ。

 これは桃花行きかな?

 いや、桜花に渡すのも有りかな?


【オリハルコン棒[飛翔]】

『純オリハルコン製棍棒』

『物理攻撃力+1400』『魔法攻撃力+450』

『適正価格:4000億円(質量計算)』


「適正価格が護衛艦かな?」

「イージスシステム載ってそう」

「桃花もそう思うか?」


 つまり、それだけ値段が高いという訳だ。

 これは桜花行きか。

 一応、ヒーラーなんだけどな。


【大賢者のコート】

『大賢者装備シリーズ。大賢者がローブは古臭いと言って自作した品。装備品が使用者を選ぶ。装備者は専用装備となる』

『魔力補正+50%』『物理防御力+300』『魔法防御力+50%』

『適正価格:算定不能』


[補正値がパーセントなのが異例の装備だよね]

[装備者の魔力で防御してるのかな?]

[そう考えられているらしい。詳しくは未解明だ]


「これは私の」

「それ以外の選択肢が無いな」

「ん。私は大賢者になる」


 大賢者になったら何かあるのか?

 それにしても、魔鉄の胸当てと急拵えの装備から、いきなりランクアップした装備になったな。


 レベルアップに装備の更新が間に合ってないんだ。

 今回は助けられたな。


【聖女のローブ】

『聖女装備シリーズ。かの聖女が着用したとされる一品』

『環境調整』『物理防御力+300』『魔法防御力+70%』『状態異常無効化』

『適正価格:算定不能』


 おっと。

 状態異常無効化がついていることは、配信では伏せておこう。


 これは桜花行きだな。

 こっちも、魔鉄の胸当てと急拵えの装備から、いきなりランクアップした装備になったな。

 助かるぜ。


 アウール魔法絹の黒ニットは俺がもらおう。


[聖女シリーズだ!]

[聖女の杖が有名だよね]

[世界最強ギルドのヒーラーが所持している筈]

[有名な話だよね]


 世界中で聖女様って言われているハンターのことかな。

 俺でも知っている。


「これ、私なんですか?」

「他に誰が装備するの?」

「でも、聖女なんて恐れ多いです」

「桜花以外にヒーラーは居ないんだよ」

「で、でも…」


 思ったより渋るな。

 ちょっと反則かもだが、彼女の気質を利用しよう。


「これを装備すると、桜花だけ状態異常にかからないんだよ。桜花だけが皆を救うことができるんだ」

「……私、みんなを救います」

「ん。頼んだ」


 桜花、なんて良い子。

 桃花が頭を撫でている。

 照れて逃げた。


【オリハルコンの鎌槍[朱雀]】

『オリハルコンと赤竜の魔石で製作された名のある一品』

『物理攻撃力+1250』『魔法攻撃力+350』

『適正価格:算定不能』


[赤い槍だね]

[ネームドってやつ?]

[ダンジョン産武器のネームドは、人工の物とは訳が違うんだ。強さが半端ない]

[また准国宝級]


 これは六槍さんの新武器だな。

 長いので、洞窟コースではあまり使えないだろうけど。


【古代竜皮と魔銀のメイド服】

『いにしえの時代の竜皮を古代竜の魔石で強化し、要部を防衛している。悪魔大元帥である灼眼のアウールから抜いた毛と魔銀の系を織り込んだものでフリルなどを構成する。魅力的なデザインで、魔法防御力に優れる』

『物理防御力+470』『魔法防御力+1350』『俊敏+50』

『適正価格:算定不能』


[なんでメイド服?]

[ミニスカだ!]

[可愛い。絶対可愛い]

[これは乳が硬い装甲で護られてますな]


 リプ欄が凄いことになっている。

 乳言うな。


[また毛を抜かれたアウール氏]

[悪魔から毛を泣くとか正気の沙汰じゃない]

[魔法防御力も正気の沙汰じゃない]

[ちょっと可哀想になってきた]


 これは莞那行きかな?

 莞那ちゃんの装備って、あまり強くないんだよ。


(こう)魔銀(ミスリル)鉢形兜(バシネット)

『魔鉄、魔銀、火龍の魔石を掛け合わせて作られたアーティファクト。失われた技術で作られている』

『物理防御力+700』『魔法防御力+700』『俊敏-30』

『適正価格:1400億円』


 これも六槍さんだな。

 ヴェールが嫌って言ってたしね。


「良いのか? これ一つで億万長者だぞ?」

「それを言うと、キリが無いですから。とりあえず、装備してみて下さい」


 六槍さんも渋ったが、桜花ほどでは無かった。


「……顔も隠せて良いな」

「そうなの?」

「配信しているだろ? その、恥ずかしい……」

「なるほど」


 そんなことを思ってたんだ。

 なんか、普段の六槍さんの男勝りな感じとは違うな。


「一応、最年長だからな。周りが若過ぎる」

「茉莉花は?」

「あれは別だろ?」

「なにおー!」


 ほら、茉莉花が入ってきた。

 置物だから暇なのだろう。


「金髪ギャルのお姉さんって、配信でも注目されてるよ。あまり映らないように設定してるけど、茉莉花が話に入ってきたら配信キューブも、こっちに来る……」

「でも、これで安心だ」


 手まで振って余裕な感じだ。

 いつもの六槍さんだ。


「それは良かった。じゃあ、映り込んでも大丈夫だな」

「いや、あまり高頻度では困る」

「……善処しよう」


 あとで設定を変更しておこう。

 槍を振るう姿は格好良いからね。


「動きやすさはどう?」

「視界が狭くて俊敏も下がるけどな。風切りの腕輪の上位装備が欲しくなる。ハウンスカルを上げると良く見えるがな」

「探してみよう」

「だがまあ、このクラスの槍に装備だ。冒険者心がくすぐられるってもんよ。槍も重いが、しっくり来る」


 なんて頼もしい。

 リスナー達も同じ感想の様だ。


「かっけー」

[マジ格好良い]

[惚れる]

 

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