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脳筋不器用元貴族のやり直し  作者: ゆめのなかのねこ
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【第22話】成果

次の日も訓練を行う。

最初の素振りを行った後、モンスター別対処法では昨日手に入れた絵姿を見せながら行った。


皆が絵姿を見ながらそれぞれモンスターを想像して剣を振るう。



「よし、座って休め」


「「「はい」」」


「疲れたー」


訓練風景はさながら、わんぱく傭兵団だ。

このまま続けていけば、最悪俺に何かあってもやっていけるだろう。


その後はクレアとククイのクイズ大会が始まった。


2人は元々頭がいいのか、ベースがあるからなのか、俺がしゃべっていたことは殆ど覚えてしまったようだ。


「明日は誰に当てようかな~」


「「「ひい~」」」


「ふふふ、なんてね。

 クロードさん、こちらはこれで終わりです」


「ありがとう。とても助かった。

 よし、今日の訓練はこれで終わりだ。」


クイズ大会で精神的にも疲れた子供たちはヘトヘトになっていた。


「疲れた」


「倒れそう」


「もう横になりたい」


「なってるじゃん」



などと言いながら道具を片付けている。


「休みたいならさっさと道具を片付けろ」


「「「はーい」」」


と、声をかければシャキッとして駆け足で道具を片付ける為に家の中へ走っていった。

元気だ。


その一方で


「ねえね~」


「よく頑張ったね、エライエライ」


クレアやククイに抱き着いて(ねぎら)ってもらおうとする子供もいた。



◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇



1ヶ月が経過した。

沢山の成果があった。


1つ目は訓練が上手く行っている事だ。


見た目でも分かるくらい強くなっている。

元々がゼロで、おかしな癖も思考も無いため、ブレること無く着実に力をつけている。

動きは完璧なので最近はアドリブで状況を変化させていろんな動きをさせるようにしているが、子供たちはこれが面白いようで楽しそうに取り組んでくれている。


「ゴブリン!盾で受け・・・ようと思ったけど攻めてこないぞ、隙を見て剣でつつけ!」


「ゴブリン! 盾で受けて、斬ろうと思ったら避けられた! 半歩下がって次の攻撃にそなえろ! 盾をたたかせるところからだ!」


「ゴブリン・・・の頭にスライムが乗ってる! 斬ったら剣がくっつくぞ! まずはゴブリンからやるか、スライムからやるか決めろ! おすすめはゴブリンのおなかを-」


こういった素振り以外にも、丸太を切り出したものを叩いて貰ったり、スライムをイメージしてツタを丸めたものを幾つか作り、それをつついて貰っているが、これがなかなか好評だ。



訓練が終わった後にも、身体を動かすのが好きだったり、訓練自体にはまっている子もおり、数人で自主練しているのを見かけたもする。

一人が1といい、残りの子供が続けて1と言って素振りをしている。


もともと脂肪がついていないため、練習中などふと筋肉が浮き出てくる子を目にするようになった。




2つ目は薬草について。

嬉しいことに、川に沿って群生地が下流に続いていることが分かった。


そしてその中に希少(きしょう)であるスタミナ草や毒消し草なども見つかり始めている。


切っ掛けはまたもやギルドのおばちゃんだ。


また書き損じたと、薬草を納品にきた子供にいろんな薬草の絵をくれたのだ。

笑顔で無理やり持たされたらしい。


薬草採取は安いためあまり人気の無いクエストなので、ギルドとしては子供達の採取力をあげ、納品率を上げようと画策しているようだ。

まあこちらも得するので文句はもちろん無い。


薬草の絵を持たせ薬草採取に向かわせたところ、家からかなり離れた場所でそれらの薬草が見つかったのだ。


元々薬草類は人の住むところの近くには生えず、一定以上の距離を置いたところからポツポツ生え始めるのだが、

このスタミナ草や毒消し草になると、薬草にくらべ更に離れた場所に生えるため買い取り額ははね上がる。


子供達が納品前にこちらに報告してくれたので、スタミナ草は自分たちの食事スープに加え毒消し草だけ納品することとした。

自分たちで食べるなんてもったいない、と言った声も聞こえたが、少しのお金より、みんなが元気な方が、俺は嬉しいと言うと満場一致で俺の案が採用された。

ずるい言い方だが、本音でもあるから許してほしい。




3つ目は、装備についてだ。

毒消し草のおかげで稼ぎが3倍程に増え、次の目標としていた子供達用の小さな装備を揃えることが出来た。


といっても、買えたのは4セットで、その日によってそれを使う人間は変わる。


なぜか防具屋のオヤジが自分の孫を見るような目でうちの子供を見てリュックを4つおまけしてくれた。

購入したのはハードレザーアーマーと言うもので、あるモンスターの革を加工したものでとても軽い。


しかし(つの)イノシシの突進でも穴が空かない強度を持っている。

指でノックするように叩けば、コンコンと硬質な音が返ってくる。


ちなみに俺の鎧はない。今着ている厚手の服だけだが、スキル重ね掛けで強化しており、ハードレザーアーマー位の強度になっている。

子供達の服はボロボロで、生地も薄いので同じことは出来ない。




4つ目は、カピ狩りの準備が整ったことだ。


戦闘訓練が成果を上げ、知識を身に付け戦うだけの丈夫な身体が出来た。

子供レベルだが初級冒険者と比べたらうちの子供達に軍配が上がるレベルには仕上がった。


そして先の鎧の購入だ。


これからは薬草採取の組と、狩猟の組に分けて活動をする。


そう説明すると半数の子供が目を光らせた。



ほかには畑の中にクワの先端が埋まっていたのを子供が発見し、俺が新しい持ち手をつけて使えるようにした、などだろうか。



そう、良くないこともある。


川の魚が今まで以上に警戒するようになったことだ。家の近くにはもう巨大魚の姿が殆ど見られなくなった。

対岸には居るかもしれないがここからでは見えない。


下流に行けば沢山の魚影は見られるが、水面に近づくとバシャバシャと居なくなる。


なので毎日ポイントを変え、身を隠しながらやらなければならなくなったので、時間が掛かるようになったのだ。


ここがモンスターとそれ以外の生き物との違いだ。

生き物は学ぶが、モンスターは学ばない、と昔誰かから聞いた。

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