表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
脳筋不器用元貴族のやり直し  作者: ゆめのなかのねこ
14/30

【第14話】戦闘訓練(1)

薬草の採取と納品を開始して、1週間が経過した。


家にいる子供たちの表情が明るくなっている。

おそらくこれは、年長組4人に気持ちの余裕と笑顔が増え、

それと共にちび達にかまう時間が増えたからだと予想する。


それまでは誰かしら、または4人全員が外に出て食べ物を探していた状態だったが、

今は午前中に薬草の採取を行い、昼に納品してからは家にいることが多い。

暗くなる前にはみんなが揃う状態となっている。


先の見えない状況から不安が顔に出ていたのが、

薬草採取という収入源を得て、魚の罠も自分たちで作れるようになったことが大きい。

後は自分で言うのもあれだが、しっかり子供を見てくれる大人が現れたというのもあるかもしれない。


それは年長組4人のやる気にもつながっており、その頑張りのおかげで薬草採取のナイフはすぐに4本となった。

このやる気を受け止められるほど、資源豊かな森という事でもある。

子供たちに薬草採取をさせている間に相変わらず散策をするが、所々で間は空くが、薬草の群生地はずっと続いているようだ。


屋敷の事や家族のことを考えては暗い気持ちになった。

でも子供たちが頑張って生きている横で俺1人がウジウジしてもしかたがない。

最終的にそういう決意をさせられた1週間でもあった。



と、いう事でそろそろ次の段階に進んでもよさそうだ。



というのも、相変わらずモンスターの痕跡は一切見られないが、ここは町のように壁で囲われ守られている訳ではなく、

モンスターがひょっこり森から出てくることだってあるかもしれないからだ。

すぐには無理だろうけど、ゆくゆくは全員が弱いモンスターくらいは、自分たちでなんとかできるようにする。




「それ、すごくいいですね」


という俺の考えを薬草採取を終え、ギルドに行く前に少し時間を貰って話したところ、年長組の4人は大賛成してくれた。


小さな子供にもかかわる話だったので、多少の難色(なんしょく)は覚悟していたのだが杞憂(きゆう)で終わった。


「わかった。

 ではそのつもりで準備を進める。

 それでなんだが、今たまっているお金でその準備に使う道具を買いたいんだが・・・」


「はい、使ってください」とエドワード。


「そうか、ありがとう。無駄にはしない」


「はい、俺ら信頼してるんで」とホームズ。



◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇



「何? そんな事してんのか!?」


俺は驚いて金物屋の主人に大きな声で確認してしまった。


というのは、この町のさらに北にはこの国の首都があるらしいのだが、

そこの教会が毎日朝と昼と夜の鐘が鳴るタイミングで、自家製の聖水を祈りと共に川に流しているらしいのだ。


その聖水には魔を払う、つまりモンスターを追い払うような力があり、この川沿いにはモンスターが現れないという話だった。


「なるほど、そういう事なのか」


家の裏手にある川には、どんな川にも普通の魚に交じって泳いでいる、最弱の魚型モンスターが居ないのだ。


俺は購入したばかりの"キリ"と"のこぎり"と"木工用のヤスリ"を持ち、外で待っていた4人に今の話をする。

4人もモンスターが出ないことは知っていたが、聖水の話は初めて聞いたとのことだった。


俺がこの森に入ってモンスターと遭遇しなかった理由もこれが関係しているのかもしれない。


「鳴き声も聞いたことないんだよね」


「そうだね」


「ああ。確かにそうだな。

 ・・・本当はもう少し後にと思っていたんだが、

 明日からは4人で薬草の採取に行ってもらえるか?」


「え!?」とクレア


「まあ大丈夫だろ」とホームズ


「うん、きっと大丈夫だよ」とホームズ


「モンスターは聖水で出てこないからいいとして、私たちだけで・・・問題ないか」とクレア


「あの、もし分らないことがあったら走って聞きに来てもいいですか?」とククイ


「もちろんだ。

 何かあったら、俺は家の前の森に入るつもりだから、探してくれ」


「森で何を?」


「戦闘訓練用の剣と盾、それと槍を作るつもりだ。それはこの道具で作る」


「クロードさん、何でも出来るんですね」


「何でもとは言いすぎだな。 昔いたところでは新米の仕事でもあったんだ。だから作れる」


「とかいいつつ、もっと色々出来るんだろうな~」とホームズ


「そうね」とクレア


エドワードとククイはうなづいている。


俺は年長組の4人を少し待たせながら、町から家までの間に生えているツタを刈りながら帰宅した。

そろそろツタも貴重になってきた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ