依頼承りました
「デザインはこのような形でよろしいでしょうかぁ?」
元のデザイン画から新たなデザインを書く。
レナンは背が高いため、既存のデザインから変更する部分がいくつかある。
布の切り返しやレースの位置を変えていった。
配色と生地について希望を聞き、納品の日取りも決める。
「出来上がり次第アタシが取りに行ってもいいわよ、他のドレスも見たいし」
「オスカー様もお忙しいでしょうからぁ、きちんとこちらに届けに来ますわよ。十日で三着はいかがですぅ?」
辛いスケジュールであるが、王太子妃との繋がりはチャンスだ。
幸い今すぐ納品する依頼はない、こちらに掛かりっきりになってもいいだろう。
王太子妃がメィリィの手掛けたドレスを着るなど良い宣伝になる。
今後は是非パーティドレスも請け負いたいものだ。
「そう言わずに甘えなさい。騎士が寄るドレス屋さんなら不埒な者は来ないわよ、この間みたいにならないかもよ」
「何かあったの?」
妹の友人の店だし、とレナンは心配そうだ。
オスカーはかい摘んで説明した。
「憲兵の巡視ルートに組み込み都度警戒にあたらせろ、何かあったら大変だ」
エリックの過度な言葉に慌ててしまう。
「そこまでは大丈夫ですよぅ、寧ろお客さんが来なくなりますぅ」
厳つい騎士がしょっちゅう来ては困る。
「ならやっぱりアタシの仕事ね、ついでに騎士服を依頼したいから丁度いいわ。この前のドレスも届けたいし」
オスカーだけならまだいいか、この見た目なら客寄せになるかもしれないし。
それに騎士服を作るとは新たな挑戦に胸が踊る。
あと単純に顧客獲得は有り難い。
「護衛騎士としての仕事は今のところないからな。いいだろう、きちんとメィリィ嬢を守るんだぞ」
「御意」
恭しくオスカーは頭を下げた。