共感、してほしいだけ
掲載日:2022/07/31
また、夜がやってきた。
私は缶ビール片手に、ベランダへと続く窓を開ける。
むわっ、とした、むせかえるような空気。
雨上がりの、夏の夜風。
ーープシュッ!
片手で栓を開け、
片肘をつきながら、
器用に指でつまむように持って、
缶ビールをあおる。
闇の空と、
車のテールランプの赤、
街灯の白……
世界がまるで三色になったようで、
私の心の雨は上がらない。
ーーゴクリ、とまた一口、『現実』を呑み込む。
叱ってほしいわけじゃない。
諭してほしいわけでもない。
責めてほしいわけではない。
ーーただ、共感してほしいだけ。
「それはつらいね」
「大変だったね」
「がんばったね」
って、言ってほしいだけ。
足元に擦り寄ってくれる、私の大事な愛猫のように。
「にゃあん」
とひと鳴き、寄り添ってほしいだけ。
私はベランダにぺたりと座り、
缶ビールを床にゴトンと置いて、
全身で愛猫を抱きしめる。
こうして私の、夜は今日も過ぎていく。
愛しい猫に、支えられてーーーーーー




