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雅と雅 (B)編  作者: 雅也
6/7

6話


                 6


 2週間連続の講習期間が始まった。


 ミヤは、今週は 移動式クレーンの5t未満の講習が始まる。会場は会社から車で約30分程で、意外に近い。今週は会社の軽四のトラックを借りて会場まで行く、今回も一人で受ける事になっている。

 この受講者は結構多く、約200人が二つの会場に分かれて行われるようだ。受付を済ませ、テキストを受け取り大きな教室みたいな会場に入って行った。

 机に受講番号が貼ってあるので、そこに座る、すると。


「あれ? ミヤさん....」 

 と、誰も知り合いは居ないと思っていたところに、ミヤを呼ぶ声がした。


 声をした方を向くと、鉄筋職人の ヤス がいた。


 良く現場で一緒になる鉄筋職人の ヤスだが、ミヤよりも一つ下で、優しい感じだ。


「ヤスもこの講習うけるとは、偶然だな」

「そおっすね、オレも資材をトラックから降ろすときに、いつもトラッククレーンを使うので、資格持ってないと困るって事で、オヤジ(社長)から行ってこいと言われてきたっすよ」

「そうだな、ヤスん所、いつもクレーン使ってるもんな」

「大きな現場なら資格がないと、見てるだけだからな」

「はは、ずっと見てたら怒られます」

「確かに.......」


「「はははははは」」


 話をしているうちに、講師とその手伝いをする、女の人が来て、講習で使う機材の設定などを操作していた。


 それから少しして、時間になったので。


「みなさん おはようございます」


 と言う講師の声から始まって、今日の流れなどを、細かく伝えられる。


 講習内容は、数日間。前半の学科講習と試験、後半の実技講習と、一日一日を目いっぱい使った、講習だ。


「それでは、テキストを開いてください」


 講習が始まった、ミヤは、ボトルコーヒーを机の右前に置いて、講師の説明を受け始めた。


          ◇ ◇ ◇


 あっという間の数日間だった。 詰め込むだけ詰め込んで、学科の終了試験、実技は実技で、二人ペアでのクレーン操作を行った。


 最終日。結果は合格、とりあえず安心だ。 ちなみに落ちた人はいない....、と思う。


 終了証を受け取り、一緒だった ヤスに別れを告げて、会場を後にする。



              △



「ただいま~」


 講習が終わり、家に着くといきなり母親の恭子が出てきて。

「あ、お帰り。ご苦労様。疲れた?」

「何か、疲れた感じがする」

「なにそれ?疲れてないんじゃない?」

「う~ん、疲れているような疲れて無いような...って、母さん 何この靴?」

「あ~、分かった?」

「一目瞭然です!」

「ふっふっふ.....」


 ちょっとご機嫌な恭子。


「な、なんだよ 母さん...」

「実はね.....」

「実は.....?」


 しかも、もったいぶる。


「早く言いなよ」

「実は今、美沙ちゃんに男の子が遊びに来てるの!!」

「な、なぬ?」


(このリアクション。昭和か,ミヤ (作))



「そうなの、彼氏 みたいなの ♪」

「な、何で母さん ♪ なの?」

「それがね、(ボリュームを下げて) イケメンさんなのよ ♬」


(なぜ? 8分音符から16分音符? (作))


「女って、イケメン好きだよな」

「あら、男だって カワイイ娘が好きじゃない、特に み、や、び、く、ん、は....」

「お、オレは雅の容姿だけで好きになった訳じゃあないぞ!」

「あら、今、認めたわね 雅」 

「あ!!....、うぅ........」


 すると、二階の踊り場から。


「ちょっと!うるさいわよ....って、お兄ちゃん お帰り」


 美沙のその後ろから、ガタイの大きなイケメンから声がかかった。


「こんにちは」


 二人は一緒に美沙の部屋から降りてきて、みんな自然にリビングに入った。


 そして美沙の彼氏から。

「お兄さん。初めまして、美沙さんと同じ大学に通ってます、中原なかはら 純也じゅんやと言います。美沙さんとは同い年で、二ヶ月ほど前からお付き合いさせてもらってます」


 見た目のガタイとは違い、キチンとしていそうな印象を受ける。


「こんちは、オレは美沙の兄で、みやびって言うんだ、よろしく」

「はい、よろしくお願いします」


 ミヤは美沙に向かい。

「美沙、とうとう彼氏が出来たか。うんうん、良かった良かった」

「ありがとう、お兄ちゃん。でも、彼氏が出来たからと言って、これからもお兄ちゃんは大好きだからね」

「お、おう!ありがとな。でも、純也くん、美沙の何処が良かったのかな?」

「何かお父さんみたい、お兄ちゃん」


ちょっと間が空く。


「えっと、純也でいいです。とにかく、相手を思いやる気持ちと優しさ、それに明るいのが良かったです」

「えぇ?純也、私の容姿は?」


 あ、しまったと思ったのか、純也の表情が一瞬気まずくなったが。

「も、もちろん、カ、カワイイから、美沙は....」

「はは、やってらんねえな...。純 でいいかな? こんな妹だが、これからも美沙の事をよろしく頼むよ」

「はい!」


「まあまあ、雅がなんかお父さんみたいになってたわね、純也くん、これからも美沙の事お願いね」

「はい、お母さん」

「まあ!お母さんだなんて....」


「「ぽ........」」(美沙 純也)



「母さん,オレ着替えたら雅ん所へ行ってくる」

「はいはい、いつから付き合うの?」

 母親からの切り替えしに。


(ギクゥ!!.......汗)


「はは....、オレたちゃ 幼なじみ~~♪」

「あ、お兄ちゃんが壊れた」

「は、ははは....」


 ふら~っと、自室に向かうミヤを見て、純也が不思議そうに見ている。


「お兄さんが お兄さんの所に行くの? 美沙....??」

と、純也が不思議そうに美沙に訊いてくる。


「ちがうちがう。 お兄ちゃんと雅お姉ちゃんの名前が一緒なの、すっごい偶然でしょ? しかも、幼馴染と言うさらに恐ろしい事実」

「恐ろしいの?」

「実はぜ~んぜん。超お似合いの二人なのにな~....」


 (美沙 白々しいぞ (作))



「ね、お母さん!」

「そ、そうね...。そうみ....、みたいね...」


 残った三人で、キャイキャイ と楽しんでいるうちに、ミヤは家を そ~~~~~っと抜けだした(脱出!した)のであった。


              △


 歩いて約20メートル、お好み焼き“はまちゃん” の前に着いた。連絡しておいたので、本宅側の玄関先でミイが待っていてくれた。

 家の皆は開店中の店内側に居るので、二人は玄関ドアを閉めた後、軽くキスをして、ミイの部屋に向かった。




 ミイの部屋で.......。




「お疲れ様、ミヤ。」


 と言い、ミイは抹茶シュークリームと無糖カフェオレを出してくれた。


「ホントに疲れたよ」

「何か、顔に出てるよ?」

「講習じゃなくて、帰って来てからの事なんだ」

「何かあったの?」



 はい、ありましたね。目いっぱい....。







  (次話が最終話になります)








 


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