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雅と雅 (B)編  作者: 雅也
2/7

2話


                 2


 今日も無事業務が終わり、会社の事務所で工程チェックを再度みて、日報に今日の簡単な内容を記入して、タイムカードがやっと打てる。


 さて、ミヤが帰ろうと、事務所を出ようとした時、工事部長によばれた。


「石仲くん、来週から5日間、講習があるから、覚えておいてくれ」

「はい。...で、なんの資格ですか?」

「あ、これだ」 


 そう言って、講習の内容が書かれたプリントを渡された。


 渡されたプリント内容を見ると、すぐにでも必要な資格だった。


「あ、はい。やっとこの資格取れるんですね」

「お前なら間違いなく合格だ」

「頑張ります」


 

「それと、これもだ」


 さらにプリントが手渡され、その内容を見て。


「なんか嬉しいです、一度にこんな資格を.....」

「はは、今年はまだまだ資格を取ってもらうぞ、覚悟しとけ」

「はい! ありがとうございます」

「おう、頼んだぞ。あ、それとこの講習はみんな 昼食出るからな、弁当はいらないぞ」

「わかりました」

「じゃあ ご苦労さん」

「お疲れさまでした」




 部長と別れ、事務所を出て自転車に乗り、ミヤはそのまま家路につく。



 ....と、その途中のバス停のベンチに腰掛けている、スーツ姿のミイを見つけた。


 その姿は今まで見てきた中で一番落胆しているのが明らかに分かる表情だった。

 この様な姿のミイは今まで見た事が無にミヤは、急いで近づき、自転車を降り、声を掛ける。



「ミイ!」



 その声に気が付いたミイが、声を掛けた人物がミヤと認識すると、涙目でミヤに向かって走り寄ってきた。そして抱き着く。


「な、なんかあったのか?」


 今にも啼泣しそうな表情のミイ........、そしてそれが堪えきれずにとうとう泣き出した。


「う....、うぅ....、うぇぇ~ん....」


 コレにミヤは。

「なんだ?泣いてちゃわからない、ここ座って」


 バス停のベンチに再度座らせる、ミヤも座った。


「ふぇ...ん...え...ん...。ぐす.....」

「ミイ 落ち着いて.....」

「.....ふえ.....」

「え.....、ぐす.....、み・や....」

「なんだ?」

「わたし........」

「どうした?」

「わたし....、もうイヤ!」

「な、なにが?」

「会社行きたくない!.....、行きたくないよ~.....、ひっく...」


     *


「ミイ.....、よしよし...」

「うぇ.....、く.....」


「よしよし.......」

「え~~~ん.......」


「いいよ...、みやび.....」

「うわ~~~ん!.....」


「よしよし...、よしよし...、いい子だから....」



(優しいね ミヤ  (作))



                  △



 泣き続けるミイを何とか歩かせ二人で帰宅し、ミヤはミイをそのまま石仲家に連れてきた。

 

 玄関で、恭子と美沙に、ミイを泣かせたと誤解されながら、ミヤの部屋に連れて行き、座らせた。

 帰宅途中の自販機で買ったミルクティーを差し出すと、ミイが一口だけ口をつけた。


 そして落ち着いてきた頃に...。


「話せるか?ミイ」

「う....、うん」


 もう一口ミルクティーを飲んで、内訳を話し始めた。


「ミヤ、怒らないで聞いてくれる?」

「それは、内容によるな」

「そうだよ...、ね...」

「でも、ミイが話せる状況なら話してくれ」

「わかった...」


 少し間を置き。


「あ、あのね....。もっと早くに言うべきだったけど....」

 続けて


「わたしね、実は、今の会社に入社して半年くらいから、セクハラを受けていたの。それだけじゃなく、ほかの男性の先輩からも言い寄られていたの...」


 今までミイが受けてきた、言い寄られとセクハラを受けた実状を、できるだけ細かくミヤに説明した。

 そしてその後、先輩OLに頼んで、きっちり言ってもらって、一時は治まった事を。


 一度は収まったものが、最近になって今度は、会社に出入りしている業者の男が言い寄ってくる様になってきたらしい。

 それも、ミイが迷惑がっているのを見かねて、先輩OLがイヤと言うほどキッパリと言ってくれた。 

 だが、それ以外でも、未だに言い寄って来る者が無くならないのが現在であり、そうすると、他の女子社員からは、 妬みの目で見られると言う、悪循環になり、それが段々と積み重なり、そしてそれまで我慢してきたものが、今日の帰りになって、号泣というかたちで爆発してしまったのだ。


「私ね、わたし、言ったのよ、彼氏が居るからやめてくださいって」

「ミイ、それおじさんとおばさんに言ったか?」

「まだ言って無い」

「それ言った方がいいと思う。そして、次第によっては正式に会社にも報告した方がいいのかも」

「そんな大ごとになるかも........」

「何言ってるんだ。ミイに起きた事がすでに 大事おおごとなんだよ。このまま見過ごすと、今度は他の娘がそういう目に合わないとも限らないだろ? だから...、だから....」

「なに?ミヤ....」

 ミヤが少し赤面しながら。


「それでクビになったら、..........、オレん所へ嫁に来い!!」


「みや....、みやび~.....うわぁ~~ん!!」

「いいからいいから....、よしよし.....」


 泣きながらミイはミヤに、巻き付いた。


(巻き付いた??  抱き着いただろ (ミヤ))

(テヘペロ!   (作))


「え~~~~~~ん.....」


「よしよし.......」


「..........」



 ミイを抱きしめ、何度も何度も頭を優しく撫でるミヤ、二人の思いはやがて恋愛から仁愛に変って行く。





(もうとっくに、ふか~い愛になってると思います (作))







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