白桜さん
いつの間にか眠ってたらしい。
ハクピ祭で超レアアイテム魔法石『蔵伸:くらのび』をゲットしたからだろうか。
夢の中に、花魁みたいな美女がいて「わ~、綺麗っ」って思わず言った。
白い桜の花びらが舞う中、花筵を歩いて近づいてくる美女。
その光景に思わず「綺麗」って言った。
おもむろにまばたきをすると、彼女はすぐ側まで来ていてびっくりした。
煙管で吸った煙を顔に吹きかけられた。
甘い香りで、これは煙草でも麻薬でもないことが分かった。
魔法使いだけが作れる『混合薬草酒煙:こんごうやくそうしゅえん』。
身体に不具合があるひとが吸うもので、きっと彼女は身体が弱い。
もしかして、思ってること聞こえてる?
近くにある彼女の口紅をひいた口角が上がった。
「回収しようかとも思ったけど、男の方に贈ったんだねぇ」
妖艶で魅力的な声で、続けられたのは質問。
「お前さん、『白桜:しろざくら』を知ってるかえ?」
「はい、おそらく、あなたのことです」
「・・・なぜ分かったんだい?」
「美女だって聞いていたから」
からからと笑う美女は煙管で酒煙を吸って、煙を吐いた。
こちらに振り向くと、彼女は言い放った。
「男が好きなのか女が好きなのか、はっきりしたくないのかい?」
「・・・はぁっ?僕にそんなに干渉しないでっ」
「・・・ははは。悩んでいたのか、すまない。すまない。詫びを贈ろう」
目覚めると手の中に、時計指輪があった・・・「詫び」ってこれのことかもしれない。
白桜さんと言えば・・・白魔女として認められた『男性』だ。