贈られたペンダントと薔薇の花束
◇市のあとロイディと一緒に料理店で食べたもの◇
*レバーとみじん切りにしたタマネギの赤ワイン炒め
*ルッコラと飾り切りされたラデッシュと燻製鴨肉のサラダ
*リンゴシャーベット
ロイディが食事をおごってくれて、けっこう美味しいおもい。
「今から親戚の家のこのお見舞いに行くんだけど、一緒に来ないか?」
「え、うん。別にそれでもいいよ」
市には日持ちする花も売られていて、ロイディはオレンジ色の薔薇の花束を買った。
聞くところによると、まだ幼い精神を病んだ女の子らしい。
どうしてかロイディにはなついているので、見舞いを喜ばれるらしい。
僕が一緒してもいいのかしら、と内心思う。
びっくりしたりしないかしら、と。
そして見舞いに行くと、将来有望な可愛らしい女の子が僕を見て目を輝かせた。
「アールっ、アールだよねっ?」
どうやらファッション雑誌は好きらしく、モデルとしての僕を知っているらしい。
「サイン欲しい」
ひとにねだるをしなくなった彼女には珍しく大胆なお願いらしい。
サインとか特にしたことないから光栄でしかない。
ご両親の涙声の「娘と写真とらせてもらえないでしょうか」のお願いを承諾。
そのあとロイディのループペンダントを見て、彼女は言った。
「それ素敵ね~、わたしも欲しい」
「アール・・・すまない。いずれ目が見えなくなるこのこに今、あげたい」
分かってるよ、大丈夫だよロイディ、君はいつもそんな風に優しさにすぐれてる。
また別の機会にいい感じのやつがあったら贈るよ。
「ロイディ・・・こっちをアールに贈ってあげて?」
・・・と言うことで、なぜかロイディからオレンゾ色の薔薇の花束をもらった。