堕天使のアルバイト(代筆:アール・ポンタロウス)
下町に 出た 幽霊 は 恋してた
そんな 存在に 恋をしてたんだ 僕が
雨の日に 悲しげに 遠目をする
晴れた日に まぶしそうに 目を細める
そんな 彼女に付き添って
そんな 彼女は 気づかない
僕が うかばれるはずがない
彼女は 他のやつと 結ばれたよ
どうやら 僕より 先に 成仏を いたすらしい
どうかお幸せに あなたに 届け 良いように
絵にかいたよな空
夢の中で見た夢
味のするような 匂いだとか
全部が全部 意味を変えることもある
描いた夢に 色をぬる
ついで 嘘の上塗りか
なんでもいいとか嘘をつく
それは思慮からきたやつだよ
愛と 希望とかが 煌めいて
僕に 招待があったみたい
意外な 結末だなぁって 思う
天国に ちょっと用事が できたよ
よい一日を
善い道のりを
あきれるほどの 光 たたえて
※ペールとしての依頼四件目は、学校にいる幽霊からのものだった。
同い年くらいの少年だけど、ふと思いついた詩をメモして欲しい、と。
生前詩が好きだったけど、人違いで襲われて不成仏霊をしていたらしい。
普段喋らない彼にそんな酷い過去があったなんて知らなかった。
報酬のお菓子のかわりにいいことを教えてあげる、と、言われた。
この時期、学校の敷地の森で特殊モルフォ蝶の群れが舞い飛ぶのが見れるよ、と。
詩を書き出して、『グレープ』とロイディも誘って、少年の案内で森へ。
そしてそこで、赤から黄色、青から緑に羽ばたく羽根を見せる蝶の群れがいた。
みんなが喜んで、幽霊の少年がひとり、成仏した。