西の白魔女
図書館が翌日休館日だったから、司書さんの言っていた『西の白魔女』探し。
ロイディは緊急で呼び出されて、今日は同行しないって。
西の白魔女・・・・
なるほど、喫茶店の看板に堂々と書いてある。
中に入ると煙管を持った白髪美少女がカウンターに足を乗せて椅子に座っていた。
お行儀の悪いこと、と思っていたら、どうやらそのひとが店主。
つまり『西の白魔女』本人。
魔力を持っているのは分かるけど、なにかがおかしい。
「わたしは『西の魔女四世』。草とかに詳しいのは亡くなったひぃおばあちゃんだよ」
美少女の言葉に、がっくりと肩を落としため息をつく。
「なにか・・・農作物について、文献とかありませんか?」
「しーらなーい」
「うーん・・・これ、ニコルの成分が入ったシュアザローナ酒の試験管」
それを差し出すと、美少女がくいついてきて話をしてくれた。
どうやら『火山の土』は、巨大野菜が育つことを聞いたことがあるらしい。
ただ、食べられる状態なのかどうかまでは知らない、と。
当時は巨大野菜のうわさに、食糧難の危機感がやわらいでほっとしたのにと嘆き。
「まさか・・・」
「ん?」
「あなたは、西の魔女として、本当に年をとらないひとっ?」
「あれまぁ、どうしてバレたんだろう?」
「どうしたら巨大野菜が作れるのか教えてっ?」
「掛け合わせをすればいい。時間をかけて。土壌作りに精を出せば今はまだ間に合う」
「・・・え?」
「惑星豆とか知らんのか?掛け合わせに三百年かかったが、あるんだぞ?」
早く誰かに伝えなきゃいけない・・・養分がいっぱいの土があればいいんだ!