ピンクパンジー
借りてるアパートのベランダで育てている植物の世話は結局幸せの類い。
アカツキ君が家に遊びに来ていて、咲いているパンジーの花を僕が摘んだ。
それを揚げて、粉砂糖をまぶしかけて冷ますと、素敵な飾りの完成。
実はパンジーって食べれるもの。
でも気をつけなきゃいけないのは、パンジーにすごく似ている「ビオラ」。
口にすると死に至る可能性も大きな有毒植物なんだけど、見た目はすごく可愛い。
アカツキ君が、「これをビワちゃんにあげたいよ」と言った。
なので帰り際に洋菓子店に行ってケーキを買って、そのケーキに飾ればいいと助言。
「ピーナちゃんとはまだ、なの?」
「そ、そんなこと、知らない知らない知らないっ。ピーナはっ・・・」
もう一度「ピーナは・・・」と口にしてみて、口調は尻すぼみになった。
「ピーナって、君の何なの?」
無邪気なアカツキ君のことだから、嫌味じゃなくて心配とか純粋な疑問だろう。
「アカツキ君こそ、ビワちゃんとうまくいってるの?」
「メリッタとマリッタが、ビワちゃんが妊娠むずかしい体だって知ってた」
「・・・ん?」
「もしかしたら僕たち、実家の件で何かに巻き込まれてないって思った」
「なんだって・・・?」
「もしかしたら僕たち、実家の件で」
「ああ、うん、分かった。聞こえている。動揺している」
「どうしたらいいの?ビワちゃんもしかして、あの子たちに何かされたのかな?」
「あの双子侍女に??」
「そう。その心配・・・あのこたちも僕の子供産みたいって言ってるし」
◇そのあとピーナは自分の何なのか再度悩み出す少し前の会話◇
*「あの双子侍女、まるでピンクのパンジーだ」とアカツキ君。
それに対して、「立場上、仕方ないことなのかもしれない」と僕。