惑星豆収穫祭
自然栽培している畑に、掛け合わせで巨大化したさやのある豆が食べ頃。
その収穫祭を催してくれたのは魔法使いの老婆、名はフーちゃん。
本名を言いたくないらしく、面々に「フーちゃんと呼んで」と言っている。
収穫祭は学院の敷地内で、『グレープ』も参加していた。
ロイディもいて、「ペールって案外とこんな感じだよ」と言われる。
あんまり意味は分からないけど、フーちゃんが収穫の仕方を話し出して忘れていた。
ひとりがさやを抱えて、ひとりが鎌か腕ずくで・・・もぐ!
つるから離れたその身丈ほどあるさやを開いて、豆を取り出す作業。
この単純な動きの繰り返しらしい。
『グレープ』はとっても楽しそう。
そしてロイディはとても面倒くさそう。
「面倒くさいならどうして参加したの?」
「君が楽しそうって言ったから」
「じゃあ、楽しもうよ!」
「・・・ほう。じゃあ、ペア組もう」
別のひととペアだったけど、ロイディが交渉して組み変わった。
惑星豆と呼ばれている豆は、一粒、ひとかかえ。
僕がさやを持ってロイディがもいで、ふたりで豆を取り出す。
惑星豆は宇宙を思わせる柄が面白い。
掛け合わせに300年はかかった、と聞く。
「すごい根気だなぁ」
「まったくだ」
惑星豆収穫祭が終わる頃、日は沈みかけていた。
醍醐味は収穫した豆を料理してふるまわれることで、惑星豆は美味しかった。
◇ひとり半粒配られた収穫祭のご褒美◇
*惑星豆の甘辛煮