素敵な贈り物
ロイディがまだ本調子じゃないから、ロイディの親戚の家の仕事の見学に行った。
ロイディと僕と、ふたりで、だ。
どうしてビルナを連れて来なかったの、とたずねると・・・
ビルナは今日、バイク仲間と他の活動をしているらしい。
見学するのは、なんとキャトフル・キャトエルの制作現場。
もうこの時代にはない、と文献にあったけど、復興したらしい。
キャトフル・キャトエルは『触れない宝石』の異名を持つ透明な樹脂でできてている。
ロイディの親戚には血のつながらないドワーフさんがいるらしい。
その仕事現場を見学させてもらうのだけど、記念にひとり1個作ってもらえるらしい。
「そうだ、ロイディ!贈り合いっこしようよ」
「お、いいねぇ」
僕は悩んだあげく、ちょっとユニークなのがいいかな、って思った。
小さな足型が着地して歩いて、ジャンプして歩いて飛び立つ柄の絵。
「真空番龍の妖精をイメージしたんけ?」とドワーフさん。
「はい。そこからイメージしました」
豪快に笑った赤毛のドワーフのおじさんは、作り方の秘密を教えてくれた。
赤い針痕が残らない、と言うのはレーザーのことで、光線が赤いらしい。
僕の『妖精の足跡』を作ってもらって、それからロイディの番。
ロイディが絵が上手いのは知っていたけど、渾身の八重咲きの花に感動した。
ドワーフのキャトフル・キャトエルと言えば、「花」。
ロイディは出来栄えを見て、四角いキューブの内側に刻まれた絵を見る。
満足そうにして口元を上げると、僕にキューブを示し「交換しよう」と言ってくれた。
◇ロイディからもらった贈り物◇
*自宅のベッド脇のローテーブルの上、間接照明の側