約束の丘
ロイディが復帰したと手紙で連絡があって、公園でデートふたりきりを指定された。
きっと『ペール』のことだろう。
どれくらい時間がかかるか分からないから、食べ物を持参した。
公園にロイディは本当にいて、僕は思わず彼を抱きしめていた。
ロイディの苦笑のような表情。
「あ。ごめん!まだ痛い?」
「大丈夫」
見せたいものがあるから、と公園の敷地内の丘にのぼった。
そこの芝生に座って、ロイディは隣にいる僕に言った。
「時々ここに来るんだ・・・ひとりでね」
「僕は今回、同席してよかったの?」
「もちろんだとも」
一望できる街並みは、すこし怖かった。
視界いっぱいの公園の緑と、居住区やオフィスビルの群れ。
「守りたいものが、見える気がするんだ、ここに来ると・・・」
「ロイディは、この風景とその条件と状態を、まるまる全部、守りたいの?」
「ああ、そうだ。僕の当たり前だ」
「そうなんだ・・・」
「どうした?」
僕の両目から、涙が出ていた。
顔をゆがめないように意識してるつもりだったけど、手で顔をおおった。
「僕も・・・何か・・・守れる、かな・・・?」
「きっと」
「きっと・・・約束するよ、ロイディ・・・僕も何か、守りたいものを作るよ」
「ああ。分かった。約束だ」
そう言ったあと彼は、しばらく泣いている僕を知らんふりして見守ってくれた。