シュアザローナの薬酒 その弐
コードネーム『黄金花月』とばったり会って、側に教員がいた。
「ああ、この子だよ。私が誘っておいた『ペール』の候補生」
黄金花月が「何年生だ?」と聞いたので、素直に答えた。
「高校卒業免停を、ロイディと同期でとって、大学進学までには至らないって」
「学校への出入りは?」
「自由」
「なるほど、逸材だ」
がっちりした身体つきの黄金花月、それは側にいる教員が前に口に出していた人物。
分かりやすく言うと、代々の生徒会長が『ペール』のリーダーを張るらしい。
そしてそのメンバーはこの西方寿学院の生徒か元生徒で構成される。
活動目的は、問題解決。
活動内容は、魔法使いとしての正義の行使。
『新薬』を打って狂犬や吸血鬼や廃人みたいになる者への対応もしているらしい。
ロイディはあの時、その騒ぎに対応して負傷した。
「ロイディの居場所を教えてください」
「今は治療中だ」
「じゃあ、『グレープ』にあずけておいた薬酒を・・・」
「あ、アール!ちょうどよかった!」
そこに走って来たのは『グレープ』の女子で、ちょうど薬酒の袋を持っていた。
「ああ、愛星。ちょうどな仲間入りの話をしていたんだ」
愛星と呼ばれた『グレープ』の女子は、こちらを見てにっこりと笑った。
「今言うね!私、『ペール』のメンバーでもあるの!」
◇メモ◇
*その数時間後、薬酒はちゃんとロイディに届いたらしい。
*今回のペールのメンバーは、何故か多肉植物の名前がコードネーム?