危ない理科室
翌日、ロイディがあのあとどこに運ばれたのか心当たりはないか学校に行った。
制服を着ての活動だし、学校と何か関係があるのかもしれないと思った。
ロイディが「新薬について」の研究に少し関わっているのは知っていた。
なので理科室をたずねてみると、そこには白衣の根暗顔ばかり。
僕を見てあわてて、僕が名乗ると「なんだ男か」と落ち着く。
女子に間違われることはあるけど、この反応にはいちいち呆れてしまう。
植物に関する新薬の研究らしく、まだ試作段階だと言う。
ロイディの居場所は知らないと言うし、しばらく新薬について質問してみた。
たいがいノーコメントなんだけど、こちらの話にうなずいてくれたりする。
研究備品にかまいながら、僕の話を真剣に聞いてくれた。
つまりは、多少の犠牲っていうのは必要なのかどうか、みたいな話の区切り。
研究員が試験管から色の付いた液体を別のに移す作業中、事故は起こった。
閃光が走るみたいな早さで煙が充満して、僕と研究員はほぼ動けない。
マイナーな場所で、人気はない。
このまま有毒かもしれない煙を吸ったら、死ぬかもしれない。
そしてこの煙の正体は、「新薬」の試薬品だとなんとか聞き出した。
その液体に、ピーナたちとWデートした時に採取した青く光るキノコ。
胸ポケットに差していたそれを液体にひたして投げたら、勢いで窓が割れた。
急速に成長していく青いキノコについて、フラワドエルが指令する。
外はもう夜に近かったが、それが功をそうした。
発光しだした巨大キノコが煙を吸って、まだ成長する。
理科室の扉の方から全員がはいつくばって脱出し、もじゃもじゃ頭が言った。
「たしかにこれは、ほめられたことじゃないな・・・」
「そうだね、でもこれ、食用らしいよ?」
彼らと一緒に医務室へ運ばれて、なぜか怒られるのも一緒にしたあと別件の話が出た。
ロイディの活動している謎のヒーロー『ペール』入会への誘いだった。