畑仕事の手伝い その壱
アカツキがうまく学院に適応するのか心配しながらも、予約された仕事当日。
仕事内容は、畑仕事についての相談とアンケート。
魔法水でいっきに安全に植物を大きくする研究がされている。
食糧難に備えてだ。
そこで今日は、その研究に「参加しない」と言った畑の持ち主と話し合いをする。
なんでこんな幼い子をよこしたのか、と聞かれたが、自分で望んだことだ。
畑仕事を手伝いながら、アンケート情報を取得していく。
僕はなんでもかんでも魔法や化学を使って解決、という考えがあまりない。
だが、魔法水は魅力的ではないか、と率直に聞いてみた。
魅力的だ、と素直に応えが返ってきた。
ただ、遺伝子組み換え、ってことじゃないのか、と聞かれる。
それは不安ですか、と聞く。
とってもだな、と畑の持ち主の老婆は腰を軽くとんとん叩きながら言った。
腰痛を我慢してまで畑仕事をしている今に不満はありませんか、と聞く。
ないなぁ、としみじみ言われた。
「自然のものを食べる。それを糧にする。わたしは、今の自然が好きなだけだ」
「魔法水は不自然?」
「わたしにしたらなぁ、そういうこと」
「・・・なるほど」
天然由来の美容液や化粧水や石鹸、それに僕は関わってきた。
その質が全部変わりかねないのは、なんだか子供心に嫌だ。
何て言ったらいいのか分からないけど、何らかの『驚異』とかが来そうで嫌だ。