★3話 疑問★達也side
朝目が覚めるとオレは全然知らない場所にいた。
「んー…ここ…どこ??」
そしてふいに思いだす。
あぁ、そういえば立川の家にいさせてもらうことになったんだ…
ぼんやりしながら部屋をでると立川が何やら困り顔で頭をかかえている。
「…どうしたんだ?そんな頭かかえて…」
なんかこいつが変な人に見える…
立川はオレを見て少し驚いたような表情を見せた。
「うーん…その、私今日学校あるんだけど…」
「学校?…ああ、別にオレおいて行ってきていいぜ?オレなら大丈夫だから!」
それに立川がおらん方が好都合なこともあるしな!
立川は少し悩んで言った。
「それじゃ私学校行ってくるから…とりあえずおとなしくしててね!」
「ああ!んじゃオレはもう一回寝てくるわ…」
オレはそう言いながらさっきの部屋に戻る振りをした。
そして立川が玄関をでるのを確認する。
…よし、行ったな。
オレは自分の荷物の中から着替えの服をとりだした。
おとなしくなんてしてるわけないじゃねぇか!
せっかく病院も退院したんだ。
遊びにいかねぇと!
まぁ、記憶がなくて少し不便なところもあるかもしれねぇけど…
そこは大丈夫だろ!
オレはそう軽く片付けると外に出ていった。
時刻は午後5時ごろ。
オレは慌てて立川の部屋に走る。
そっと玄関に入り、立川がまだ帰ってきていないのを確認してからほっと溜息をついた。
よし…
なんかばれたらややこしいことになりそうだからな。
とりあえず何事もなかったかのようにテレビでも見とくか!
そう思ってソファに座ってテレビをつけたとき、
ガチャッ
ちょうど立川が帰ってきた。
せ、セーフ…
ほっと息をついてからオレは努めて明るく言った。
「あ、立川!おかえりー!」
「…ただいま!」
立川もなぜかムリしているとバレバレの明るい声で言う。
どうしたんやろ?
やっぱばれたか??
立川の顔を良く見ると目が腫れていた。
「おまえ、さっきまで泣いてた??」
「えっ…??なんで??」
立川が驚いたようにオレに訪ねる。
そりゃ…分かるだろ…
「目、腫れてるぞ」
「あ…」
立川はさも今気がついたかのように目をなでた。
そしてまたムリに笑顔をつくる。
「…なんでもないよ!ただ…」
立川はそこで黙り込んでしまった。
「なんだよ?学校で何かあったのか??」
例えば好きだったやつにふられたとか…
いや、そう言えば立川の彼氏はオレだったとか言ってたな。
そんな風に軽く考えていると急に立川に持っていたスーパーの袋を投げつけられた。
「った!何すんだよ!?」
オレなんか悪いこと言ったか!?
オレが思いきり立川を睨むと立川もオレを睨み返してきて叫んだ。
「誰のせいと思ってるのよ!?」
そう言い残し立川は自分の部屋へ飛び込んだ。
ドアをくぐる瞬間、頬を伝う涙が見えた気がした。
…なんだよ?
オレ、本当になんか悪いことしたか??
オレが今日してたことと言えば、その変にいた結構いい女に声かけて遊んでたくらい…
って、それがばれてたとかか!?
…んー、なんかばれてたっぽいなぁ。
少し罪悪感を感じたがすぐに頭の中で片付けた。
…まぁいいか。
オレは今、前の記憶がないんだ。
だからたとえ前のオレがあいつと付き合っていたとしても、オレには関係ない。
だってオレは前のオレとは違う人間なんだから。
ま、明日適当におだてたらあいつの機嫌もなおるだろ。
オレはすぐに考えるのをやめて、つけたばかりのテレビに集中した。
――そしてその夜。
また、夢を見た。
――そこは住宅街の道の真ん中。
――怒りの表情で涙を流す『誰か』がとても愛おしくて痛いほどに『誰か』を抱きしめた。
――そしてオレは『誰か』の耳元で本当に小さな声で告白した。
――『誰か』が笑顔でオレのことを好きと言った。
――うれしくて、ずっとずっとこうしていたいと思った。
…そう、オレは――――と一緒にいられるだけで幸せやったんや…
夢がとぎれるまえ、最後にオレとよく似た声が聞こえたきがした。
サブタイトルが思いつかない…
あとムリに終わらせようとしているので文章がかなり適当です<m(__)m>