☆3話 どうして?☆理沙side
「うーん…どうしよー!」
立川理沙。
朝からすごい悩み事を背負っています。
達也がうちにいるのは別にいいけど…
…今日、学校なんだけど。
達也を一緒に連れていけるわけないし…
だからといってずっと家にいてもらうのも悪いし…
「…どうしたんだ?そんな頭かかえて…」
へっ??
驚いて後ろを見るとまだ寝ぼけ眼の達也がぼんやり後ろに立っていた。
どーでもいいけど…
起きるの早いねー…
「うーん…その、私今日学校あるんだけど…」
「学校?…ああ、別にオレおいて行ってきていいぜ?オレなら大丈夫だから!」
大丈夫ってあなた。
記憶ないんですよ…??
大丈夫なわけな…
そのときふと思った。
もしかしたら…
1人でいるうちに何かの拍子で記憶もどるかも…
…うん。
そうだよね。
「それじゃ私学校行ってくるから…とりあえずおとなしくしててね!」
勝手に外でられて何かあったらやだし…
「ああ!んじゃオレはもう一回寝てくるわ…」
達也はそう言うと目をこすりながら戻っていった。
なんのために起きてきたんだろ…??
…まっ、いっか!
それよりはやく行かなきゃ!!
実はもう遅刻ギリギリなんだよね……
…急ごう!
私はあわてて家をでた。
改札口に定期をさしこみながら軽いため息をつく。
…今日は全然授業に集中できなかったな…
なんか達也のことが気になって気になって…
家に帰ったらいなくなってそうで…
まっ、そんなわけないよね!
…でも一応はやくかえろ…
そう思って急いで電車に乗り込んだ。
同時にドアが閉まる。
良かった…
なんとかセーフだ!
とりあえず帰ったら夕飯の支度しなくちゃね。
って…なんか私、お母さんみたい。
そうだよ!
記憶がないとはいえ達也と2人で暮らすんだ!
なんか結婚してるみたい…!
くすっと笑みがこぼれる。
ますますはやく帰らないといけない気になってきた。
家の近くの駅に着く。
私はなんとなく浮足立って改札口をぬけた。
帰るまえに買い物していこうかな?
昨日は急いでたからありあわせだったけど…
今日は達也においしいごはんを食べさせてあげたい…
私は近くのスーパーに向かって足を進めた。
そのとき…
「達也!次どこ行くー??」
ドキッ!
私は思わず声のした方を見た。
…まさか、達也って違う人のことだよね??
達也って名前の人、たくさんいると思うし…
なんとかそう思いこみながら。
けど、思いこみは間違ってた。
そこには髪の長い美人の女の人。
隣には…
「達也…」
私の…
大好きだった人がいた。
何それ…
私は2人に気づかれないようにスーパーまで走った。
自然と涙がこぼれおちる。
どうして…どうして…?どうして…!?
頭の中ではちゃんと理解できる。
だって達也は記憶をなくしてるんだもん。
私のことは何も思ってないんだもん。
他の女の子をつくっても当然でしょ??
でも心はついていかない。
どうして!?
あんなに私のことを好きでいてくれたのに…
少し離れちゃったくらいでもう忘れちゃったの!?
他の女の子でも…
いいの…??
「ふぇ…」
私はスーパーのまえに座り込んだ。
まわりの人が迷惑そうに私を見る。
けどそんなのは気にならなかった。
頭に残るのはただ、達也が他の女の子と一緒にいた光景だけ。
…それくらいでこんなになる私っておかしいのかなぁ…??
けど、おさえきれない。
涙がとまらない。
だって…
私は3年たった今でも、ずっと達也のことが好きだったんだもん…
なんとか買い物を終えた私はとぼとぼと家路についた。
家に帰るのが怖い。
達也に会うのが怖い。
自然と足取りが重くなる。
けど、進むかぎり、確実に目的地には近付いていく。
私はゆっくりと扉をあけた。
できるだけ、何も見ていないことをよそおって。
リビングに入ると達也がソファに座ってテレビを見ていた。
まるで、今日は一日ずっと家にいたような光景。
でも、違う。
服はちゃんと着替えてるし、朝ははねていた髪の毛も、しっかりもとに戻っている。
さっきのは見間違えだと思いたかったけど…
違うんだね…
「あ、立川!おかえりー!」
達也が私に気がついて私に笑顔を向ける。
「…ただいま!」
私もなんとか笑顔をつくって返した。
そんな私をじっとみる達也。
な、なんだろ…??
私何かおかしいところあるのかな…??
「おまえ、さっきまで泣いてた??」
「えっ…??なんで??」
私、もう泣きやんでるよね??
達也は自分の目をさして言った。
「目、腫れてるぞ」
「あ…」
そっか…
そんなところまで気がつかなかったよ…
「…なんでもないよ!ただ…」
私はそこで言葉をのみこんだ。
理由なんて…
達也に言えるわけがない。
「なんだよ?学校で何かあったのか??」
まったく分かってない達也。
…学校で何かあったとかじゃない…
達也は、まったく分かってないんだね。
なぜか頭に血がのぼる。
私はスーパーの袋を達也に投げつけた。
「った!何すんだよ!?」
達也が驚いて私を睨む。
「誰のせいと思ってるのよ!?」
私はそれだけ言い残すと自分の部屋へ飛び込んだ。
もう、達也なんて知らない!
やっぱり、あの人は達也なんかじゃないんだ!
だって私の気持ちなんてなんにも分かってくれないんだもん!
ベッドにたおれこむ。
頬に一筋涙が伝うのが分かった。
ねぇ、達也…
はやく戻ってきてよ…
私どんなに離れてても、達也がいるって知ってればいくらでも待てるよ??
けど、目の前にいるのに…
それがあなたじゃないなんて…
私、そんなのたえられない…
多分この小説、短くなる気がします。
プロローグをぬいて4話くらい??
わかりませんが…